回転差資金

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 商売の世界では「回転差資金」という言葉があります。回転差資金とは、「商品の販売回転日数」と「仕入れ先への支払勘定回転日数」の差によって生み出される手元資金のことです(*1) (*2)。

 例えば小売店A社がB社から商品X(価格10万円)を仕入れたとします。小売業界の仕入れ代金の支払いは概ね「掛け買い」(後日払い)です(*1)。この場合、仕入れ代金は10万円になります。

 B社への(仕入れ代金)支払いが「2か月後」で、商品Xが「仕入れ当日」に売れたとします。この場合は、A社は仕入れ代金10万円を「支払期日の2か月前」に確保できたことを意味します。この場合、「仕入れ代金10万円」を2か月間寝かすのではなく、その現金10万円を次の出店資金に回すのです(*1)。これが回転差資金です。

 もしこれがB社への支払いが「2か月後」で、商品Xが「仕入れ日から1か月後」に売れたとします。この場合、A社は仕入れ代金10万円を「支払期日の1か月前」に確保できたことを意味します。

 またはB社への支払いが「1か月後」で、商品Xが「仕入れ日から1か月後」に売れたとします。この場合、A社は仕入れ代金10万円を「支払期日の当日」に確保できたことを意味します。この場合、回転差資金どころではなく、逆に仕入れ代金の確保が困難になっています。

 回転差資金の増加方法は、①商品回転率を上げる、②仕入れ先への支払いサイト(猶予期間)を長くしてもらう、という2つです(*1)。衣料品は食品に比べて、商品回転率が低です(*2)。衣料品は現金化に時間がかかります(*2)。

 また回転差資金は、金融機関から資金を調達していないので、利払いがないです(*1)。

<引用・参考文献>

*1 『奇跡の小売り王国 「北海道企業」はなぜ強いのか』(浜中淳、2022年、講談社+α新書), p40-41

*2 『奇跡の小売り王国 「北海道企業」はなぜ強いのか』, p142-143

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