国境に建てられた屋敷を利用する密輸方法

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 パキスタン国内におけるアフガニスタン国境付近の「密輸産業の街」として知られたのが、ペシャワール周辺とクエッタ周辺です(*1)。ペシャワールはパキスタン北部に位置し、アフガニスタンのカブールに通じています。一方、クエッタはパキスタン南部に位置し、アフガニスタンのカンダハルに通じています。

 ペシャワールとカブール間の密輸方法としては、ロバによる運搬で山道を使い国境を抜ける、いかだによる運搬で川を使い国境を抜けるなどがありました(*1)。

 クエッタ周辺のチャマンという街における密輸方法の1つとして、「国境に建てられた屋敷」の利用があったと言われています(*1)。パキスタンとアフガニスタンをまたぐ屋敷の中は「私有地」となり、簡単には取り締まられません(*1)。密輸業者は、屋敷を利用すれば、税関のチェックから逃れることができました。とはいえ、密輸業者は「黙認」してもらう為に、両国の当局者に賄賂を渡していたと考えられます(*1)。

 国境に建てられた屋敷を利用した密輸は、「陸続きの国境」という地元の特徴を活かした方法だったと考えられます。

<引用・参考文献>

*1 『タリバン』(田中宇、2001年、光文社新書), p184-185

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