頼母子講

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 頼母子講(たのもしこう)とは、相互扶助の金融システムです。例えば毎月1回の集まりで、頼母子講のメンバー10人は各々10万円を拠出します(*1)。つまり毎月1回の集まりで100万円(10人×10万円)が集まります。頼母子講は別名「無尽」(むじん)とも呼ばれます(*1)。

 次に、くじ引き等によってメンバー間で「100万円の配当者」が決められます(*1)。一度配当されたメンバーは、配当獲得の権利を失います(*1)。ゆえにメンバー全員にいつか配当金が渡される仕組みに頼母子講はなっています(*1)。メンバー全員に配当が行き渡ったら、頼母子講は終了します(*1)。例えばメンバー10人の頼母子講は10カ月で終了します。頼母子講メンバーの収支は「0」です(支出100万円、収入100万円)。メンバー全員の公平性が保たれているのが頼母子講の特長です。

 しかし特殊な頼母子講もあります。「親掛け」を導入している頼母子講は公平性に欠けます(*1)。親掛けとは、メンバー間で選ばれた「親」が「最初の月」と「くじに当たった月」の計2回配当を得られる仕組みです(*1)。「親」以外のメンバーの配当は、「くじに当たった月」の計1回しかありません(*1)。

 親掛けの頼母子講(メンバー10人。毎月各自10万円の拠出)の場合、頼母子講の期間は11カ月になります。「親」の収支は「90万円の黒字」です(支出110万円、収入200万円)。一方「親」以外のメンバーの収支は「10万円の赤字」です(支出110万円、収入100万円)。

 ヤクザ組織はミカジメ料を徴収している店のオーナー達を頼母子講に誘っていました(*1)。ヤクザ組織は、親掛けの頼母子講を実施し、自ら「親」になることで利益を得ました(*1)。

<引用・参考文献>

*1 『新版・現代ヤクザのウラ知識』(溝口敦、2006年、講談社+α文庫), p311-314

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