現代の日本では、治安機関及び法体制がヤクザ組織の抗争を制限しています。治安機関の警察当局は捜査力、法に基づいた実力行使(逮捕や家宅捜索等)(*1)を用い、ヤクザ組織を厳しく取り締まっています。
現代日本の法体制もヤクザ組織に対し厳しいです。1992年施行の暴力団対策法(*2)、1999年施行の組織犯罪処罰法 (*3) (*4)により、ヤクザ組織による犯罪は厳罰化されました。
「敵対組織幹部の射殺」という行動は、プラスとマイナスの相反する結果を組織(射殺実行側)にもたらします。射殺という戦果は、組織に「武闘派」というブランドを与え、組織ブランド上プラスに働きます。一方、射殺実行組員及び関与した組員の逮捕や服役は、活動人数の減少になる為、組織運営面においてマイナスです。
抗争局面のヤクザ組織は、敵対組織攻撃により生じる「プラス」と「マイナス」を事前に計算した上で、攻撃の可否を決めていると考えられます。
1992年暴力団対策法施行の前までは、プラス(戦果)がマイナス(活動人数の減少)を上回ると判断するヤクザ組織が現在よりも多い傾向にあったと考えられます。
一方現在、治安機関及び法体制がヤクザ組織に厳しくなったことで、プラス(戦果)がマイナス(活動人数の減少)を下回ると判断するヤクザ組織が多い傾向にあると考えられます。
<引用・参考文献>
*1『マル暴捜査』(今井良、2017年、新潮新書), p42-43
*2『マル暴捜査』, p12
*3『山口組の平成史』(山之内幸夫、2020年、ちくま新書), p126
*4 『サムライ 六代目山口組直参 落合勇治の半生』(山平重樹、2018年、徳間書店), p218
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