日本政府が主張する領土で、住宅ローン金利0%の地域があります(2017年時点)。住宅ローン金利0%の地域は、北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)です(*1)。北方領土は1945年からロシア(旧ソ連)に実効支配されています(*2)。日本統治時代(1855~1945年)の北方領土人口は約17,000人でした(*2)。2017年時点の北方領土民間人口は約16,800人(国後島約7,900人、択捉島約5,900人、色丹島約3,000人、歯舞群島民間人なし)です(*2)。日本統治時代に比し、人口は変動していないことが分かります。
日本統治時代は漁民が主で、現在の北方領土の住民も多くは漁業で生計を立てています(*2)。ソ連時代から漁期になると、季節労働者が出稼ぎにくるものの、定住に至ることは少なかったようです(*2)。2007年ロシア政府は「千島列島社会経済発展計画」に基づき、280億ルーブル(約500億円)をインフラ整備に投入し、人口増加を企てました(*2)。2016年にはロシア政府は不動産取得の優遇策を打ち出しました(*1)。北方領土の住宅ローン0%の施策は優遇策の一環です(*1)。住宅ローンを担当する金融機関は負担を強いられますが、恐らくロシア政府が金融機関に埋め合わせをしていると考えられます。ロシア政府が北方領土の人口増加を真剣に企てていることが窺えます。
<引用・参考文献>
*1 『日刊ゲンダイ』2017年8月3日号(2日発行)「北方領土上陸ルポ 連載③」(中村逸郎), p5
*2 『週刊エコノミスト』2016年11月15日号「北方領土&ロシア Q&Aで丸分かり!」(名越健郎著), p28-29
コメント