「密漁」とは、合法的な漁ではないことを指します。漁業において、短期間に多量の漁獲は、対象資源の枯渇に至ります。漁業が続いていくためにも、現代は法律で漁獲量を規制しています。規制方法は多岐にわたります。
規制の1つとして、漁期の設定があります。漁期とは「漁獲が認められる期間」のことです。例えば日本海西区(島根県、鳥取県、兵庫県、京都府、福井県、石川県)と富山県のズワイガニ(オス)の漁期は、11月6日~3月20日(約4カ月半)です(*1)。新潟県以北の日本海地域のズワイガニの漁期(オス・メス)は、10月1日~5月31日(約8カ月)です(*1)。北海道東部のオホーツク海地域のズワイガニの漁期は、10月16日~6月15日(約8カ月)です(*1)。各地域において漁期以外の時期に、ズワイガニを獲ることは「密漁」となります。
また漁獲禁止エリアの設定があります。1986年北方領土の「三角水域」が全面封鎖されました(*2)。漁船は法律上、三角水域に立ち入れないことになりました。しかし以降、漁船が三角水域に侵入、カニを獲るという「密漁」行為を働きました(*2)。
漁業の場合、違法行為が即「漁獲という利益」になるということも、密漁が絶えない一因かもしれません。
<引用・参考文献>
*1 『カニという道楽-ズワイガニと日本人の物語』(広尾克子、2019年、西日本出版社), p221,231-232
*2 『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(鈴木智彦、2018年、小学館), p229
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