広島県のヤクザ組織業界では「外若(そとわか)」呼ばれる者達がいました(*1)。外若は、「外の若い者」という意味合いから来ていると考えられ、組織の会議に出ず、上納金を払いませんでした(*1)。外若はいわゆる「準構成員」の部類に入ると考えられます。
外若の存在は、1992年施行された暴対法(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)が背景にあると考えられます(*2)。暴対法以前から外若が存在していた可能性もありますが、暴対法によりヤクザ組織の構成員は刑事罰が重くなりました(*2)。組織活動に制限が加えられたヤクザ組織は「構成員以外」の仲間を作ることを余儀なくされたと考えられます。
半グレ集団「関東連合」のリーダー格だった見立真一は、山口組2次団体弘道会N組(参考文献でイニシャル表記となっている)と関係を持っていました(*3)。見立真一はN組に「上納金」を支払う一方で、N組の「名義使用権」を得ていました(*3)。「N組の名義使用権」は具体的には、ヤクザ組織からの揉め事において、見立真一は「N組の世話になっている」というセリフを使えることだったと推測されます。また見立真一は構成員ではなかった為、事務所当番等の雑務を担うことはありませんでした(*3)。
外若と見立真一の両者を「上納金の有無」で見ると、外若は上納金が「無し」で、見立真一は上納金が「有り」でした。一方で外若はおそらく構成員から雑務等を引き受けることがあったと推測されます。見立真一の場合、雑務等を担うことはありませんでした。
<引用・参考文献>
*1 『ヤクザ1000人に会いました!』(鈴木智彦、2012年、宝島SUGOI文庫), p259
*2 『現代ヤクザ大事典』(実話時代編集部編、2007年、洋泉社), p158
*3 『いびつな絆 関東連合の真実』(工藤明男、2014年、宝島SUGOI文庫), p229-230
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