ショバ割り

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 高市(たかまち)で露店を出す際、売上を左右するのが「立地」でした。高市とは、社寺の祭礼や縁日に仮設される露店市のことでした(*1)。高市のほとんどは、1年ごともしくは1カ月ごとに開催された定期門前市でした(*1)。

 露店の位置決めは「ショバ割り」と呼ばれました(*2)。または「ミセワリ」とも呼ばれました(*3)。最も良い場所は「ホンドバ」、最も悪い場所は「ガリ」と呼ばれて、両者の売上は数十倍異なりました(*2)。

 ショバ割り実施日は、小さい規模で高市の当日朝、大きい規模で高市の20日ほど前でした(*2)。ショバ割りでは、同じ種類の商品の店舗が並ばないように配置されました(*4)。基本的には庭主(その高市を仕切る地元テキヤ組織の親分)がショバ割りの裁量権を持っていました(*5)。しかし警察当局がショバ割りを行うこともありました(*5)。

 テキヤ組織間の力関係がショバ割りに反映されることもありました(*6)。

高市において出店露店商は「庭主組織が売る商品」を避けて営業することが「暗黙の了解」としてありました(*7)。

 出店露店商は場所代を庭主組織に払いました(*1)。場所代は概ね、高市の総経費÷出店数で求められました(*1)。この計算方法では、ホンドバ(最も良い場所)に出店した露店商とガリ(最も悪い場所)に出店した露店商の払う場所代は同額だったのです。

 2012年時の情報において、場所代は、関東では1日1万円、関西では1日1.5万といわれていました(*8)。

 高市において露店商は、料金等を概ね現金で決済していました(*7)。

<引用・参考文献>

*1 『盛り場の民俗史』(神崎宣武、1993年、岩波新書),p44-45

*2 『ヤクザ大辞典』(山平重樹監修、週刊大衆編集部編・著、2002年、双葉文庫), p98-100

*3 『テキヤはどこからやってくるのか? 露店商いの近現代を辿る』(厚香苗、2014年、光文社新書), p145-146

*4 『ヤクザ大辞典 親分への道』(山平重樹監修、週刊大衆編集部編・著、2002年、双葉文庫), p168

*5 『ヤクザに学ぶ 伸びる男 ダメなヤツ』(山平重樹、2008年、徳間文庫), p157

*6 『間道 – 見世物とテキヤの領域』(坂入尚文、2006年、新宿書房),p159

*7 『テキヤのマネー学』(監修:仲村雅彦、取材・構成:高橋豊、1986年、東京三世社),p56

*8 『GEKIDAS 激裏情報@大事典vol.5』(激裏情報、2012年、三才ブックス), p82

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