B勘屋

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 昔、企業の脱税策の1つとして、「B勘屋」の利用がありました。「数億円単位の偽領収証」を発行する会社がB勘屋と呼ばれました(*1)。

 法人税などは、企業の売上ではなく「利益」を課税対象とします。節税の点から、企業は利益を減らそうとします。実際「支出を意図的に多くして利益を減らすこと」は、一般企業でも行われています。

 B勘屋利用の場合、例えばX企業(脱税企業)がY企業(B勘屋)に企画料として2億円を支払ったという話がでっち上げられました(*1)。

 Y企業はX企業に企画を提供することはなかったと考えられます。

 ただしY企業(B勘屋)は「2億円の領収証」をX企業(脱税企業)に発行しました。一方X企業では「2億円がY企業に支出された」ことが帳簿に記載されました。

 X企業にとって2億円の支出は、利益が2億減ることを意味しました。X企業はB勘屋利用により、法人税などの課税対象額を減らすことができたのです。

 当然、架空の取引による領収証は「偽領収証」となります。

 脱税企業はB勘屋に、「偽領収証発行の報酬」として、概ね額面の20%を支払いました(*1) (*2)。2億円の領収証発行の場合、4千万円程度がB勘屋に支払われました。

 脱税企業はB勘屋に一旦額面通りに決済し、その後B勘屋が報酬分を抜いた上でお金を脱税企業に戻したと考えられます。つまり先の例を用いれば、まずX企業(脱税企業)はY企業(B勘屋)に2億円を支払いました。その後Y企業は「報酬分4千万円」抜いた1億6千万円をX企業に戻したのです。その1億6千万円は帳簿には載らないので、X企業はその1億6千万円を「裏金」として用いていきました(*2)。企業にとって、B勘屋の利用は、「裏金を捻出する方法」の1つでもあったのです。

 B勘屋は、脱税を図る中小企業にとって貴重な存在でした(*1)。大手企業の場合、赤字の子会社に支出する形で、利益を「減らす」ことが可能でした(*1)。しかし中小企業は子会社を持ちませんでした(*1)。脱税を図る中小企業にとって、B勘屋の存在価値は高かったのです。

<引用・参考文献>

*1 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p72-73

*2 『ミナミの帝王 パクリと詐欺の超手口』(郷力也・天王寺大編著、藤原義恭監修、1997年、日本文芸社),p187-188

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