イエメンと東アフリカ(エチオピア、ケニア)では「カート」と呼ばれる植物が、商業目的で栽培されてきました(*1)。カートには「カチノン」という化合物が含まれています(*2)。
カチノンは、アンフェタミンと同様の薬効を持っています(*2)。アンフェタミンは覚醒剤の一種です(*3)。
カチノンは「新鮮なカートの葉」に含まれています(*2)。
ゆえにイエメンでは早朝に収穫されたカートは「当日午後」には消費されていました(*1)。カートの主な摂取方法は、経口摂取です(*4)。具体的に「葉を噛む」方法がとられています(*4)。
イスラム教国であるイエメンでは飲酒が禁止されています(*1)。飲酒の代替目的か、イエメンの人々は嗜好目的でカートを摂取してきました(*1)。イエメンにおいてカートは「合法薬物」です(*1)。
1990年「北イエメン」と「南イエメン」が統合して、現在のイエメンが誕生しました(*5)。1970年代北イエメンは「カートの輸出」を禁止しました(*6)。以後の統合イエメンもカートの輸出を禁止してきました(*1)。
東アフリカのエチオピア、ケニアもカートを「合法薬物」としています(*2)。エチオピアとケニアは、イエメンと異なり、「カートの輸出」を合法化しています(*2)。エチオピアとケニアは主に欧米諸国にカートを輸出していました(*2)。
イギリスではカートの輸入は合法でした(*7)。
<引用・参考文献>
*1 『嗜好品カートとイエメン社会』(大坪玲子、2017年、法政大学出版局), p16-19
*2 『嗜好品カートとイエメン社会』, p131-132
*3 『薬物とセックス』(溝口敦、2016年、新潮新書),p83
*4 『嗜好品カートとイエメン社会』, p124
*5 『嗜好品カートとイエメン社会』, p6
*6 『嗜好品カートとイエメン社会』, p46-47
*7 『[文庫クセジュ] 合成ドラッグ』(ミシェル・オートフイユ/ダン・ヴェレア著、奥田潤/奥田陸子訳、2004年、白水社),p57
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