ニュージーランドでは1960年代後半から違法薬物が流通し始めていき、1970年代には違法薬物の広がりが大きな社会問題となりました(*1)。当初ニュージーランドではマリファナ(乾燥大麻)だけが流通するような状況でした(*1)。しかし1970年代が進むにつれてLSDが流通し、1970年代中盤までには大量のヘロインが消費されました(*1)。対策として、ニュージーランド政府は「国家麻薬情報局」(National Drug Intelligence Bureau)を設立しました(*1)。
LSDとは、摂取により幻視(実在しないのに「見えている」と訴える)や幻聴(音や言葉が発せられていないのに「聞こえている」と訴える)を引き起こす違法薬物です(*2)。ゆえにLSDは「幻覚系」として分類されています(*2)。ちなみに中枢神経抑制系の大麻、中枢神経興奮系のMDMAも幻覚作用を引き起します(*2)。
日本ではLSDの商品形態は紙片です(*3)。末端(小売)市場ではLSD紙片は1枚3,000~7,000円の価格で密売されています(*3)。日本では1970年LSDは違法薬物に指定されました(*4)。当時(1970年)麻薬取締法がLSDを規制していました(*4)。1990年麻薬取締法は「麻薬及び向精神薬取締法」に改称され、以後は麻薬及び向精神薬取締法がLSDを規制していきました(*4)。
LSDは1943年、サンド社(スイスの製薬会社)の研究者であるA・ホフマンにより発見されました(*5)。LSDの別名としては「デリシッド」「リゼルギド」などがあります(*6)。1960年代後半の欧米でLSDは流行しました(*7)。
<引用・参考文献>
*1 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』(Jarrod Gilbert,2021,Auckland University Press), p93
*2 『スマホで薬物を買う子どもたち』(瀬戸晴海、2022年、新潮新書), p155
*3 『スマホで薬物を買う子どもたち』, p236
*4 『<麻薬>のすべて』(船山信次、2019年、講談社現代新書),p133
*5 『<麻薬>のすべて』,p118,124
*6 『<麻薬>のすべて』,p126
*7 『<麻薬>のすべて』,p130
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