アメリカ合衆国系バイカーギャング「アウトローズ」(Outlaws)はシカゴ(イリノイ州)郊外のマクック(McCook)という街で1935年に結成されました(*1)。ゆえに結成当初のアウトローズは「マクック・アウトローズ」と呼ばれます(*1)。
マクック・アウトローズは1950年までにはシカゴに拠点を移しました(*1)。シカゴへの拠点移転時、構成員の投票によって組織名は「シカゴ・アウトローズ」に改称されました(*1)。1964年までにシカゴ・アウトローズのもとにミルウォーキー(ウィスコンシン州)やルイビル(ケンタッキー州)のバイカークラブが加わり、組織名は「アウトロー・ネーション」(Outlaw nation)に改称されました(*1)。組織名の変更から、アウトローズが自身を「広域団体」として意識していたことが窺えます。
また1965年アウトロー・ネーションは法人として「アメリカン・アウトローズ協会」(American Outlaws Association)を設立しました(*1) (*2)。アメリカン・アウトローズ協会(American Outlaws Association)は略して、「AOA」とも表記されます。以後、アウトローズは勢力を拡張させていき、1967年にはフロリダ州に進出、フロリダ州で最も支配力のあるバイカーギャングとなりました(*2)。また海外にもアウトローズは進出していきました(*2)。
アウトローズでは非白人も構成員となることができました(*3)。また非白人の住む国にもアウトローズは支部を設立しました(*3)。一方でアウトローズのフロリダ勢におけるリーダーであったレスリー・バース(Leslie Baas)は、1990年代「コンフェデレート・ハマースキン」(Confederate Hammerskin)に入っていました(*4)。
アメリカ合衆国の有力ネオナチスキンヘッド系の組織としては「ハンマースキン・ネイション」(Hammerskin Nation)があります(*5)。コンフェデレート・ハマースキンは、ハンマースキン・ネイション傘下のグループの1つでした(*5)。ハンマースキン・ネイション傘下のグループはかつて数十ありました(*5)。
コンフェデレート・ハマースキン以外のグループとしては「東部ハマースキン」(Eastern Hammerskins)、「北部ハマースキン」(Northern Hammerskins)、「アリゾナ・ハマースキン」(Arizona Hammerskins)等が活動していました(*5)。ハンマースキン・ネイションは白人至上主義をとっていました(*5)。アウトローズの中には白人至上主義の構成員もいたのです。
アメリカン・アウトローズ協会(AOA)は「アウトローズの統治機構」という位置づけでした (*6)。
1984年アメリカン・アウトローズ協会(AOA)は本部をシカゴからデトロイト(ミシガン州)に移しました(*7) (*8)。
<引用・参考文献>
*1 『Outlaws: Inside the Hell’s Angel Biker Wars』(Tony Thompson,2012,Hodder Paperback), p149-150
*2 『The Fat Mexican: The Bloody Rise of the Bandidos Motorcycle Club』(Alex Caine,2010,Vintage Canada), p186
*3 ADL(Anti-Defamation League)’s comprehensive report.(2011). Bigots on Bikes: The Growing Links between White Supremacists and Biker Gangs. September.pp5
*4 ADL(Anti-Defamation League)’s comprehensive report.(2011). Bigots on Bikes: The Growing Links between White Supremacists and Biker Gangs. September.pp10
*5 ADL(Anti-Defamation League)のサイト「The Hammerskin Nation」(2017年2月6日)
https://www.adl.org/resources/profile/hammerskin-nation
*6 『Outlaws: Inside the Hell’s Angel Biker Wars』, p363
*7 『アウトロー・バイカー伝説』(ビル・オズガービー、2008年、スタジオタッククリエイティブ),p132
*8 『Under and Alone: Infiltrating the World’s Most Violent Motorcycle Gang』(William Queen,2011, Mainstream Publishing),p34
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