タクシング

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  ニュージーランドのアウトロー組織業界では1990年代以降、「タクシング」(taxing:課税)という言葉が使われ出しました(*1)。文字通りタクシング(課税)は恐喝の一種でした(*1)。タクシングは、主に「所有物の没収」という形で実行されます(*2)。

 一般人だけではなく、時にはアウトロー組織の者もタクシングの対象になりました(*1) (*3)。業界内で軽蔑されるべき行為をした場合等に、該当者はタクシングの対象となりました(*1)。

 バイカーギャングはしばしば、追放処分者(元構成員)をタクシングの対象としました(*3)。大手ストリートギャングも、過ちを犯した構成員を、タクシングの対象としました(*3)。

 2000年8月ヘッド・ハンターズ(Head Hunters)の構成員らは、元ヘルズ・エンジェルス(Hell’s Angels)のペタル・ヴィタリ(Petar Vitali)に対しタクシングを試みました(*4)。ヘッド・ハンターズは「バイカーギャング」と「ストリートギャング」の要素を兼ね備えており、いわば「ハイブリッド型アウトロー組織」でした(*5)。昔、歌手ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)のコンサートにおいてヘルズ・エンジェルスは警備を担当していました(*4)。警備中にペタル・ヴィタリがヘッド・ハンターズの構成員1人を刺したのです(*4)。

 事件後、両団体の間で話し合いが行われ、和解が成立しました(*4)。しかし和解後においてペタル・ヴィタリは刺傷事件を自慢していたことで、ヘッド・ハンターズから恨まれ、また仲間のヘルズ・エンジェルスからも軽蔑される事態に陥りました(*4)。

 そこでヘッド・ハンターズの構成員らはペタル・ヴィタリからタクシングすること、具体的にはペタル・ヴィタリ所有のランナバウトボート(小型ボート)とマスタング(自動車)の収奪を図ったのです(*4)。しかし収奪を試みた時に、ペタル・ヴィタリからの反撃でヘッド・ハンターズ側は負傷者を出しました(*4)。

<引用・参考文献>

*1 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』(Jarrod Gilbert,2021,Auckland University Press), p193

*2 『Gangland: New Zealand’s Underworld of Organised Crime』(Jared Savage,2020, HarperCollinsPublishers),p59-60

*3 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』, p199

*4 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』, p196-197

*5 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』, p248

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