教育の世界では「偏差値」という言葉がしばしば聞かれます。
偏差値において「平均」は偏差値50で、「1標準偏差」は偏差値10になります(*1)。標準偏差とは「平均からの差」のことです。
つまり偏差値60とは、「平均から1標準偏差分、上に位置している」ことを示しています。また偏差値70とは、「平均から2標準偏差分、上に位置している」ことを示しています。一方、偏差値40とは、「平均から1標準偏差分、下に位置している」ことを示しています。
麻薬カルテルのコカイン出荷量及びメタンフェタミン出荷量を例題として、偏差値について考えてみましょう。
[20XX年Y月のコカイン出荷量]*数値は鯉登太郎の任意です
Aカルテル:30トン
Bカルテル:20トン
Cカルテル:40トン
Dカルテル:10トン
Eカルテル:50トン
Fカルテル:30トン
【平均】30トン
【標準偏差】13 *小数第一位を四捨五入
以上のデータから、各カルテルのコカイン出荷量の偏差値(小数第一位を四捨五入)を求めると、下記になります。偏差値は「10×(個々の値-平均値)÷(標準偏差)+50」の式で求められます(*2)。
Aカルテルの偏差値:50
Bカルテルの偏差値:42
Cカルテルの偏差値:58
Dカルテルの偏差値:35
Eカルテルの偏差値:65
Fカルテルの偏差値:50
最も出荷量の多かったEカルテルは、偏差値65を示しました。「65」という偏差値から、Eカルテルのコカイン出荷量は、「平均から1.5標準偏差分、上に位置していた」ことが分かります。
[20XX年Y月のメタンフェタミン出荷量]*数値は鯉登太郎の任意です
Aカルテル:8トン
Bカルテル:1トン
Cカルテル:30トン
Dカルテル:2トン
Eカルテル:3トン
Fカルテル:4トン
【平均】8トン
【標準偏差】10 *小数第一位を四捨五入
以上のデータから、各カルテルのメタンフェタミン出荷量の偏差値(小数第一位を四捨五入)を求めると、下記になります。
Aカルテルの偏差値:50
Bカルテルの偏差値:43
Cカルテルの偏差値:72
Dカルテルの偏差値:44
Eカルテルの偏差値:45
Fカルテルの偏差値:46
最も出荷量の多かったCカルテルは、偏差値72を示しました。「72」という偏差値から、Cカルテルのメタンフェタミン出荷量は、「平均から2.2標準偏差分、上に位置していた」ことが分かります。
また以上から偏差値とは「グループ内での相対的な位置づけ」に過ぎないことも見えてきます。
<引用・参考文献>
*1 『まなびのずかん 統計学の図鑑』(涌井良幸・涌井貞美、2015年、技術評論社), p42-43
*2 『ゼロからはじめる! 統計学見るだけノート』(永野裕之監修、2018年、宝島社),p189
コメント