闇金(違法貸金業)の貸付方法の1つとして「後払い現金化商法」があります(*1)。後払い現金化商法において、闇金業者は、借り手の間で商品売買が行われているように、装いました(*1)。
「キャッシュバック」を用いた方法では、貸し手(闇金業者)が「商品販売者」、借り手は「購入者」を演じました(*1)。その際、売買契約において代金支払いは「後払い」とされました(*1)。貸し手は「キャッシュバック」という名目で借り手に現金を振り込み(これが貸付に該当)、借り手は後日(給料日の時期)「商品代金」を支払いました(これが返済に該当)(*1)。
週刊新潮の取材で、カフェ勤務の20代男性は「商品3万円にキャッシュバック1万8千円」という条件で、後払い現金化商法を利用したと述べていました(*1)。借り手(カフェ勤務の20代男性)にとって1万8千円が「借入金」(元本)で、3万円が「返済金」になりました(*1)。つまり1万2千円が「利息」(貸借料)になりました。その20代男性は、半月後の給料日に貸し手に3万円を振り込みました(*1)。
キャッシュバック(借入金)が振り込まれて半月後に返済したことから、借入(貸付)期間は「半月」だったことが分かります。半月を「15日」とします。元本は1万8千円、利息は1万2千円でした。1日あたりの金利(利率)は「利息÷元本÷借入日数×100」の式で求められます。あてはめていくと「1万2千円÷1万8千円÷15日×100」の式になり、1日あたりの金利は4.4%(少数第二位以下切り捨て)になります。年利に直すと、1,606%の金利になります。
貸金業法と出資法の改正により、2010年6月18日以降、借入金における法定金利の上限は20%になりました(*2)。利息制限法の上限金利は貸付額に応じて15~20%(元本10万円未満は20%、10~100万円未満は18%、100万円以上は15%)、出資法の上限金利は20%です(*2)。先述の1,606%の金利は、法定金利を超えています。
先述の「元本1万8千円、借入日数15日」の条件で、利息制限法の上限20%で借入れた場合、利息は「元本×金利×(借入日数/365日)」の式で求められます。あてはめていくと「1万円8千円×20%×(15日/365日)」の式になり、利息は147.9円(少数第二位以下切り捨て)になります。
「キャンセル料」を用いた方法では、逆に、貸し手(闇金業者)が「商品購入者」、借り手は「販売者」を演じました(*1)。貸し手は「商品代金支払い」という名目で借り手に現金を振り込み(これが貸付に該当)、借り手は後日(給料日の時期)「キャンセル料」(売買契約不履行)という名目で金を支払いました(これが返済に該当)(*1)。「キャンセル料」が「商品代金」より高くなっており、その差額が「利息」となっていました(*1)。
後払い現金化商法の1つとして、「商品レビュー投稿の報酬」を用いたのもありました(*3)。この場合、貸し手(闇金業者)が「商品販売者」、借り手は「購入者」を演じました(*3)。貸し手は「レビュー報酬」という名目で借り手に金を渡し(これが貸付に該当)、借り手は後日「商品代金」を支払いました(これが返済に該当)(*3)。この場合「商品代金」が「レビュー報酬」よりも高くなっており、その差額が「利息」となっていました(*3)。
<引用・参考文献>
*1 『週刊新潮』2021年11月25日号「MONEY vol.127 給与ファクタの次は「後払い現金化商法」新手“闇金”の餌食になる人」,p50-51
*2 日本貸金業協会サイト「5 お借入れの上限金利は、年15%~20%です」
https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/maximum_interest_rate.php
*3『日刊ゲンダイ』2022年9月10日号(9日発行)「経済ニュースの核心 後払い決済の名を借りた高利貸し」(小林佳樹)
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