山口組分裂抗争に詳しい「慣れ果て (@narehateta)」が9月19日、「六代目山口組若頭補佐清水一家、同幹部國領屋一家、同舎弟一力一家、同若中良知組、の計4社。一昨日から離脱の話し合い(移籍で全当代合意済み)を行って居た所、勘付いた名古屋が得意の噛ましを入れ、現状膠着状態。東海勢頑張れ。」というツイート(投稿)をしました。「慣れ果て (@narehateta)」は神戸山口組の支持者であり、的確な情報を素早くツイッター上で発信することで群を抜いています。
(この記事を書いている)9月23日現在、記載された清水一家、國領屋一家、一力一一家、良知組の4団体は、ともに静岡県に拠点を置く山口組2次団体です。山口組の中でも静岡県勢は一定の勢力を持っています。現在の山口組の中で、2次団体が最も多くいる都道府県は、14団体が拠点を置く大阪府です(*1)。2番目に多いのが、7団体の愛知県です(*1)。3番目に多いのが、6団体の静岡県です(*1)。分裂前は、8団体いた兵庫県が2位に位置していましたが、兵庫県勢の大半が現在神戸山口組の傘下組織になっています(*1)。
静岡県勢は、静岡県西部の2団体、静岡県中部の3団体、静岡県東部の1団体で構成されています。静岡県西部には、國領屋一家と一力一家がともに浜松市に本部を置いています(*1)。静岡県中部には、清水一家と小西一家がともに静岡市に、良知組は榛原郡に本部を置いています(*1)。静岡県東部には、藤友会が富士市に本部を置いています(*1)。静岡県における山口組と神戸山口組の勢力割合は、『別冊 実話時代 山口組分裂闘争完全保存版』によると、山口組が880人、神戸山口組60人となっています(資料のデータは警察発表から。また人数は構成員と準構成員を含めた数。また他の都道府県の傘下団体の勢力も含めています)(*2)。約15対1の比率で、山口組が人数において圧倒しています。
國領一家と一力一家の組織の源流は、浜松の名門博徒組織・國領屋で、両団体には「親戚的な関係」があると言えます(*3)。清水一家のトップは山口組執行部の若頭補佐・高木康男です(*4)。5月に行われ、結果破断に終わった両山口組の和解交渉において、山口組の窓口を務めた人物です。小西一家のトップ・落合勇治は、住吉会との抗争を巡り、2010年に逮捕され、現在司法の場で争っています(*4)。その為、現在、社会不在の身となっています。良知組と藤友会は、旧後藤組を出身母体としています(*4)。2008年後藤組トップの後藤忠政が山口組からの除籍処分に従い引退した際、後藤組を良知組と藤友会に分割しました(*4)。良知組と藤友会は、他の2次団体の預かり(3次団体への降格)になることなく、同年2次団体に昇格します(*4)。
良知組トップの良知政志は、1987年から後藤組の若頭を務めており、以降の後藤組の拡大を長年支えてきた人物です(*4)。また後藤組は山口組2次団体に昇格する前は、一力一家の前身組織・伊堂組の傘下組織にいた時期があります(*3)。「慣れ果て (@narehateta)」が挙げた4団体のうち、國領屋一家、一力一一家、良知組の3団体は組織の歴史において、強いつながりを有していることが分かります。
一定の勢力を持つ静岡県勢の離脱は山口組にとって痛手です。現在の抗争における両団体の均衡が崩れる可能性も秘めています。
<引用・参考文献>
*1 『最新ビジュアルDX版! 山口組分裂「六神抗争」365日の全内幕』(宝島特別取材班編、2016年、宝島社), p34~35
*2 『別冊 実話時代 山口組分裂闘争完全保存版』(2016年10月号増刊), p32~35
*3 『山口組の100年 完全データBOOK』(2014年、メディアックス), p48~49
*4 『別冊 実話時代 山口組分裂闘争完全保存版』(2016年10月号増刊), p67~79
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