現在、22の1次団体のヤクザ組織が日本で活動しています。1次団体は複数の2次団体で構成され、各2次団体はさらに複数の下部団体(3次団体)により構成されています。下部団体を含めると、日本には多くのヤクザ組織が存在しています。組織の数だけ、組織名称の数もあります。
ヤクザ組織はどのようにして自身の組織名を決めているのでしょうか。主流な組織名としては、結成者つまり初代トップの名字をそのまま組織名として使用するケースが挙げられます。山口組2次団体・弘道会の有力下部団体・髙山組や野内組の組織名は、初代トップ髙山清司、野内正博の名字から由来しています。1次団体の山口組や稲川会の組織名も、初代トップの山口春吉、稲川聖城の名字から来ています。名字ではなく初代トップの名前を組織名にしている組織もあります。住吉会2次団体・幸平一家は、初代藤沢幸平の名前を組織名にしています。
活動拠点とする地域の名前を組織名に取り入れるケースも多いです。稲川会2次団体・碑文谷一家、前橋一家の組織名は、東京目黒区の碑文谷、群馬県前橋市の地名から来ています。1次団体・住吉会の組織名も、東京の住吉という地名から来ています。また任侠道を意識した組織名もあります。1次団体・俠道会(広島県尾道市)、道仁会(福岡県久留米市)の組織名は、それを伺わせます。
「ミックス型」の組織名もよく見られます。例えば、「結成者の氏名」+「上部団体トップの氏名」の組み合わせによる組織名です。現在弘道会会長の竹内照明は、先の髙山組内で2001年新団体(高山組下部団体)を立ち上げました(*1)。組織名は高照組です(*1)。高照組の組織名は、竹内照明の「照」と、髙山組トップ髙山清司の「髙」の組み合わせから来ていると考えられます。また「任侠道」+「上部団体トップの氏名」の組み合わせによる組織名もあります。神戸山口組2次団体・山健組の下部団体に邦侠会と邦心連合会という組織があります(*2)。邦侠会は、任侠道を感じさせる「侠」と、山健組トップ井上邦雄の「邦」の組み合わせから来ていると考えられます。また邦心連合会も同様の組み合わせから来ていると考えられます。「上部団体トップ氏名」を一部組織名に取り入れる利点として、「上部団体の威光」を組織名に持たせることができることがあります。
<引用・参考文献>
*1 『日本のヤクザ100人 闇の支配者たちの実像』(別冊宝島編集部編、2016年、宝島社), p100-101
*2 『週刊実話』2016年6月16日号, p37
コメント