「日本国粋会」(1991年「國粹会」に改称)は、2005年まで独立団体として活動し(*1) (*2)、2004年時点で1都4県を活動範囲としていました (*3)。内訳は東京都と「信州斉藤一家」(諏訪市)の長野県(*4)、「吉田川一家」(富士吉田市)の山梨県(*5)、残りの2県は関東圏にあると考えられます。2次団体の多くは、東京都に拠点を持っていました(*6)。日本国粋会は、「東日本の組織」という色合いが強かったです。
日本国粋会は1958年に発足しました(*2)。当時日本国粋会には、先述した地域以外に、岐阜県、三重県、鳥取県、熊本県のヤクザ組織も参加していました(*6)。当時の日本国粋会が全国規模の団体であったことが窺い知れます。1985年日本国粋会2次団体「金町一家」七代目総長襲名披露の書状には、推薦人に「日本国粋会 伊勢紙谷一家八代目総裁北角藤郎」の名前がありました(*7)。
「伊勢紙谷一家」は三重県に拠点を置いて活動していました(*8) (*9)。伊勢紙谷一家の最高位は「総裁」でした(*8)。1969年10月時点では荒井重吉が伊勢紙谷一家の総裁を務めていました(*8)。1979年11月時点では先述の北角藤郎が総裁を務めていました(*8)。荒井重吉は、北角藤郎にとって前任の総裁でした(*8)。荒井重吉は七代目の総裁だったと考えられます。
金町一家七代目総長襲名披露の書状から、伊勢紙谷一家が1985年時、日本国粋会に所属していたことが分かります。しかし2017年現在、伊勢紙谷一家の後継団体・「紙谷一家」は、弘道会の2次団体となっています(*10)。1985年以降、伊勢紙谷一家は日本国粋会を脱退した後、弘道会の傘下に入ったことが分かります。
<引用・参考文献>
*1 『別冊 実話時代 龍虎搏つ!広域組織限界解析Special Edition』(2017年6月号増刊), p32
*2 『洋泉社MOOK・ヤクザ・指定24組織の全貌』(有限会社創雄社・実話時代編集部編、2002年、洋泉社), p162-164
*3 警察庁「平成16年の暴力団情勢」
*4 『山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント 2008~2015』(溝口敦、2015年、講談社+α文庫), p252
*5 『実話時代』2016年10月号, p144
*6 『洋泉社MOOK・義理回状とヤクザの世界』(有限会社創雄社実話時代編集部編、2001年、洋泉社), p73
*7 『洋泉社MOOK・義理回状とヤクザの世界』, p178-179
*8 『公安大要覧』(藤田五郎、1983年、笠倉出版社), p476-477
*9 『公安百年史 - 暴力追放の足跡』(藤田五郎編著、1978年、公安問題研究協会),p761
*10 『週刊実話』2017年5月11・18日号
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