絵画取引による裏金作り

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 裏金作りの方法の1つとして、絵画取引がありました。絵画取引では、1500万円程度の絵画が2000万円で取引された場合でも、問題視されません (*1)。絵画の価格は、実用的な面ではなく、「見る人の評価」によって決められます。よって取引毎に、価格の振り幅は大きくなります。

 1985~1986年の平和相互銀行事件においても、絵画取引による裏金作りが行われました(*2)。平和相互銀行で起きた内紛解決の為、平和相互銀行経営陣から当時の大蔵大臣・竹下登に「お金」が渡りました(*2)。真部俊生という画商が両者の間に入りました(*2)。平和相互銀行経営陣が画商・真部俊生から金屏風(時価1億円未満)を40億円で購入する取引方法が用いられました(*2)。結果、40億円の一部の「お金」が竹下登側に渡りました(*2)。

 具体的な絵画取引による裏金作りとして、以下の方法がありました(*1)。例えばA社が政治家に裏金1,000万円を渡したい場合です。

1.A社は画商Bから、領収書なしで、絵画Xを1,500万円で購入します

*A社→画商Bに1,500万円が渡る

2.A社は1,500万円で購入した絵画Xを、金銭の授受なしで、政治家Cに渡します(無償提供)

3.政治家Cは絵画Xを画商Bに1,000万円で売却します

*画商B→政治家Cに1,000万円が渡る

4.画商BはA社に、「絵画X」と「1,500万円の領収書」を渡す

 以上の取引で、政治家Cには1,000万円のお金が渡りました。また媒介した画商Bにも500万円が渡っています。A社は領収書があるため、「画商Bから絵画を購入した」経費として落とすことができます。物的な証拠としての絵画もX社に残っています。

<引用・参考文献>

*1 『DATAHOUSE BOOK 031 悪い金儲け』(高原明光、2005年、データハウス), p89-90

*2 『黒幕 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(伊藤博敏、2016年、小学館文庫), p91-92,101-104

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