ばらつきの大きさを示す尺度として「標準偏差」があります(*1)。標準偏差とは、平均からの差のことです。
例えばヤクザ組織の2次団体A会は8つの下部団体を持っているとします。8つの下部団体の総構成員数は48人です。一方2次団体B連合も8つの下部団体を持ち、下部団体の総構成員数もA会と同じ48人とします。A会、B連合ともに下部団体(3次団体)の平均構成員数は「6人」(総構成員数48人÷8団体)となります。
しかしA会の場合、8つの下部団体において構成員数に偏りがあります。A会下部団体の構成員の内訳はA会a組(1人)、A会b組(1人)、A会c組(1人)、A会d組(1人)、A会e組(1人)、A会f組(1人)、A会g組(19人)、A会h組(23人)という内容です。8つの下部団体のうち、6団体は一人親方です。g組とh組が一定数の構成員を抱えている為、平均値を上げたことが分かります。
一方B連合の場合、8つの下部団体において構成員数に偏りは小さいです。下部団体の構成員の内訳はB連合a会(5人)、B連合b会(6人)、B連合c会(8人)、B連合d会(5人)、B連合e会(6人)、B連合f会(5人)、B連合g会(7人)、B連合h会(6人)という内容でした。
ばらつきの大きさを示す「標準偏差」で求めてみましょう。計算は割愛します。A会の下部団体の構成員数の標準偏差は8.7になります。一方B連合の下部団体の構成員数の標準偏差は1になります。両団体の平均はともに同じ数値でしたが、標準偏差では差がつきました。平均値だけでなく標準偏差も求めることで、物事の実態を深く知ることができます。
<引用・参考文献>
*1 『ブルーバックスB-2085 今日から使える統計解析 普及版 理論の基礎と実用の“勘どころ”』(大村平、2019年、講談社), p33-35
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