日本国内の覚醒剤市場において長年「供給役」を担ってきたのがヤクザ組織です。1995年の資料では、ヤクザ組織(元売り)は「海外の生産者」から1gあたり約1,000円で覚醒剤を仕入れていました(*1)。1kg(1,000g)に直すと、生産者からの仕入れ価格は約100万円です。
2012年の資料では、ヤクザ組織(元売り)は「海外の生産者」から1gあたり約9,000円で覚醒剤を仕入れていました(*2)。1kgに直すと、生産者からの仕入れ価格は約900万円です。
2016年の資料では、ヤクザ組織(元売り)は「海外の生産者」から1gあたり約5,000円で覚醒剤を仕入れていました(*3)。1kgに直すと、生産者からの仕入れ価格は約500万円です。1995~2016年、「生産者からの仕入れ価格」は変動してきたことが分かります。
1995年の資料では、元売りのヤクザ組織は、卸のヤクザ組織に1gあたり4,000~5,000円で覚醒剤を販売しました(*1)。小売価格は1gあたり5万円~15万円でした(*1)。1995年時点の日本の覚醒剤市場において、「生産者からの仕入れ」(1gあたり約1,000円)から「小売」まで、覚醒剤の価格は約50~150倍に上がっていたことが分かります。
2012年の資料では、元売りのヤクザ組織は、卸のヤクザ組織(大口の売人)に1gあたり1万3,000~1万5,000円で覚醒剤を販売しました(*2)。小売価格は1gあたり約7万5,000円でした(*2)。2012年時点の日本の覚醒剤市場において、「生産者からの仕入れ」(1gあたり約9,000円)から「小売」まで、覚醒剤の価格は約8~9倍に上がっていたことが分かります。
1995年時に比し、2012年時点の「仕入れ価格から小売価格の倍率」は下がっています。2012年は、仕入れ価格が高かった一方、小売価格が1995年と同様だったことが要因であると推測されます。
海外の場合、2009年コロンビアのコカインは、コロンビアの港で1kgあたり2,147ドルだったのが、ニューヨークの街頭では1kgあたり12万ドルで売られていました(*4)。コロンビアの港の価格を「生産者からの仕入れ価格」として考えると、「生産者からの仕入れ」から「小売」まで、コカインの価格は約60倍に上がっていたことが分かります。
ちなみに2009年コロンビアのコカイン価格を1gに直すと、コロンビアの港では約2ドル、ニューヨークの街頭では約120ドルとなります。また円に直すと(1ドル=110円)、コロンビアの港では1gあたり約220円、ニューヨークの街頭では1gあたり約1万3,200円となります。
<引用・参考文献>
*1 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p120-121
*2 『裏社会 噂の真相』(中野ジロー、2012年、彩図社), p204-205
*3 『週刊実話』2016年3月3日号, p34
*4 『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』(ヨアン・グリロ著、山本昭代訳、2014年、現代企画室), p197
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