商取引の決済手段の1つとして、手形の利用があります。手形とは、即時支払いをしないが、期日までに支払う約束をする「証文」です(*1)。手形の利用により、支払い側は支払いを先延ばしすることができ、時間を獲得できます。手元に現金を持っていない場合、手形は役立ちます。
手形を出す側(支払い側)は「振出人」と呼ばれます(*2)。手形を受け取り、期日に入金を待つ側は「受取人」と呼ばれます(*2)。振出人は銀行で予め当座口座を開設しておく必要があります(*2)。
期日までに振出人は当座口座に、手形に記入した金額を置きます。振出人が期日までに手形に記入した金額を置けない事態は、「不渡り」と呼ばれます(*3)。6カ月以内に2回不渡りを起こした会社は、銀行との取引を停止されます(*3)。
受取人にとって、手形は「入金の遅延」を意味します。しかし受取人は期日前でも金融機関に手形を持ち込めば、現金化できます(*1)。金融機関が受取人に代わり「不渡り」のリスクを背負う為、金融機関は手形を割引きます(*1)。
手形は融資手段としても用いられています。資金繰りに悩むものの金融機関から融資を受けられない会社は、手形を振出し、受取人から「融資」をしてもらいます(*1)。融資目的に用いられる手形は「融通手形」と呼ばれます(*1)。融通手形の受取人は、街金が多いです(*1)。融通手形の「貸し手」(街金)は受取人、「借り手」(資金繰りに悩む会社)は振出人となります。
<引用・参考文献>
*1 『裏経済パクリの手口99』(日名子暁、1995年、かんき出版), p18
*2 『ウラ金融』(青木雄二、2002年、徳間文庫), p91
*3 『ウラ金融』, p113
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