江戸時代からヤクザ組織は人足供給業を通じ、土建業界に影響を及ぼしていました(*1)。暴力装置(暴力行使をいとわない構成員ら)を力の源泉とするヤクザ組織にとって「人集め」は得意分野でした。
ヤクザ組織は公共事業にも進出していました(*2)。公共事業の領域におけるヤクザ組織の重要な役割の1つとして、「入札談合の仕切り役」がありました(*2)。「入札談合」は違法です。行政機関や政治家が入札談合の「仕切り役」を務める訳にはいきません。違法領域における「裁定者」はヤクザ組織の役割で、公共事業でもヤクザ組織が担っていました。
海外ではイタリア南部のマフィアが公共事業に現在も食い込んでいます(*3)。マフィアは公共事業に参加できる業者を支配しています(*3)。業者を通じてマフィアは公共事業の完工を意図的に延ばすことで、公共事業費を多くとろうとしています(*3)。イタリアの行政機関は公共事業という性格上、途中で終了させる訳にはいかず、仕方なく追加の公金を投入していると考えられます。
<引用・参考文献>
*1 『新・ヤクザという生き方』(山之内幸夫、1998年、宝島社文庫), p326-328
*2 『極道のウラ情報』(鈴木智彦、2008年、宝島SUGOI文庫), p56-57
*3 『選択』2019年12月号「ベネチア「水没」に無力のイタリア」, p16-17
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