中国では中華民国(1912年建国)(*1)時代の1913年以降、合法的なアヘン貿易が禁止されました(*2)。1929年には、国民政府令として「アヘン禁煙法」が公布・施行されました(*3)。当時の中国において「アヘンの取り扱い」は違法行為でした。
しかしチャハル省はアヘン売買やアヘン輸送に対し課税しており、実質「アヘン吸煙」を容認していまいた(*4)。1936年度チャハル省のある区域の歳入のうち、約13%がアヘン関連税収でした(*4)。当時の中国では行政機関においても、アヘン吸煙が「黙認」されていたと考えられます。
1937年7月日中戦争が勃発しました(*5)。日本軍は各地に侵攻、「傀儡政権」を作っていきました(*5)。傀儡政権の1つの「蒙疆政権」は1938年アヘン専売制を開始しました(*6)。また他の日本軍占領地である広東市(*7)、武漢(*8)、華北(*9)等でもアヘン専売制が始まりました。
当時の中国ではアヘンに加えて、ヘロイン等も流行しました(*10)。ヘロイン以外には「角」が知られていました(*11)。「角」の原料は、粗製ヘロインと数種の麻薬・薬品・香料等でした(*11)。「角」は石鹸のような形をして販売されていました(*11)。「角」は固形である為、流通の段階で「偽物」が足されることはなかったです(*11)。
一方、ヘロインは「粉末」の形状で販売されました(*11)。ヘロインは粉末であることから、流通の段階で「偽物」がよく足されました(*11)。「角」は消費者に「偽物が入っていない」という安心感を与えた為、多く消費されました(*11)。特に山西省において「角」は広まりました(*11)。
<引用・参考文献> 、
*1 『清朝と近代世界19世紀 シリーズ 中国近現代史①』(吉澤誠一郎、2018年、岩波新書), p221
*2 『アヘンと香港 1845-1943』(古泉達矢、2016年、東京大学出版会), p132
*3 『日中アヘン戦争』(江口圭一、2018年、岩波新書), p25
*4 『日中アヘン戦争』, p65
*5 『日中アヘン戦争』, p60-64
*6 『日中アヘン戦争』, p67
*7 『日中アヘン戦争』, p113
*8 『日中アヘン戦争』, p138
*9 『日中アヘン戦争』, p131-132
*10 『日中アヘン戦争』, p172-175
*11 『日中アヘン戦争』, p176
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