パナマ運河は、大西洋と太平洋をつなぐ中南米にある運河です。現在、パナマ運河はパナマ共和国により運営・管理されています。
1902年パナマはコロンビアから分離・独立しました(*1)。パナマは独立したものの、アメリカ合衆国の強い影響下に置かれました(*1)。パナマ独立(1902年)以降、アメリカ合衆国主導の下、パナマ運河の建設が開始されました(*2)。パナマ運河は1914年完成しました(*1)。
1999年パナマ運河がパナマに返還されるまで、パナマ運河の支配権はアメリカ合衆国にありました(*3)。
返還10年前の1989年12月、アメリカ合衆国はパナマに軍事侵攻しました(*3)。アメリカ合衆国軍がパナマ最高指導者・ノリエガ将軍を逮捕、アメリカ合衆国に連行しました(*3)。
アメリカ合衆国軍侵攻前(1989年)、パナマ軍トップのノリエガ将軍は、大統領選挙に出馬しました(*3)。しかし大統領選挙の敗北が確実になると、ノリエガ将軍は選挙の無効を訴え、「国家最高指導者」のポストに就きました(*3)。アメリカ合衆国はノリエガ将軍の事実上のクーデータを看過せず、軍事侵攻の選択肢をとったのでした。
ノリエガ将軍はコロンビアの麻薬組織とつながっていました (*3)。公式見解によると、ノリエガ将軍の許可の下、「メデジン・カルテル」(Medellín cartel)は、パナマ側のダリエン地峡のジャングルで巨大なコカイン密造施設を作っていました(*4)。しかし1984年5月このコカイン密造施設の存在は世間に知られることになり、摘発されました(*4)。
パナマ運河地帯にあったハワードアメリカ空軍基地は、コロンビア麻薬組織を調査等するための拠点でした(*3)。しかし1999年以降、ハワードアメリカ空軍基地は閉鎖されました(*3)。
パナマでは米ドルが流通してきました(*3)。バルボアという独自通貨があるものの、硬貨のみになります(*5)。パナマでは米ドルが「国家紙幣」になっています(*5)。パナマに行けば米ドルが手に入るのです。
パナマは国際的な資金洗浄の中心地でした(*6)。パナマでは1,000米ドルで架空の会社を銀行に登録することが可能でした(*6)。またパナマの銀行秘密法(bank secrecy laws)により、その架空会社を通じて送られたお金は全て追跡できませんでした(*6)。
<引用・参考文献>
*1 『貿易の世界史 ―大航海時代から「一帯一路」まで』(福田邦夫、2020年、ちくま新書), p197
*2 『国際情勢の見えない動きが見える本 新聞・テレビではわからない「世界の意外な事実」を読む』(田中宇、2001年、PHP文庫), p200-201
*3 『国際情勢の見えない動きが見える本 新聞・テレビではわからない「世界の意外な事実」を読む』, p204-206
*4 『Cocaine: An Unauthorized Biography』(Dominic Streatfeild,2003,Picador),p477
*5 外務省サイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/panama/data.html#section4)
*6 『Cocaine: An Unauthorized Biography』,p476
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