ハシシとは、ペースト状のマリファナ(THC5%以上含む大麻)のことです(*1)。ハシシはTHC含有量が多いです(*2)。ハシシを作る際、大麻の雌株のみが原料として用いられます(*2)。
大麻では雌株にTHCが多く含まれています(*3)。雄株の花粉や葉にもTHCが含まれていますが、量は少ないです(*3)。
ハシシは喫煙により摂取されます(*1)。消費者は、少量のハシシをほぐし、タバコの葉と混ぜ、紙で巻いて吸煙します(*4)。
モロッコはハシシの密造地として知られています。モロッコは、北アフリカの北西部に位置しています。モロッコは地中海に面しており、ヨーロッパとは近い距離にあります。
モロッコ政府は大麻を違法薬物に指定しています(*4)。しかしモロッコの一部地域(リーフ地方)では大麻栽培が歴史的に「黙認」されてきたこともあり、モロッコは「世界最大の大麻生産国」といわれていました(*4)。
モロッコでは大麻の栽培者は、乾燥大麻をそのまま密売業者に売るか、もしくは粉状に加工しました(*4)。その際には先述したように、雌株のみを選び、粉状にしていきました(*4)。
リーフ地方のケタマ産大麻の場合、大麻100kgから「約2kgの粉」が作られました(*4)。粉状の大麻は品質によって「6等級」に分けられました(*4)。大麻の栽培者は粉状の大麻も、密売業者に売りました(*4)。
次に密売業者は山中の小屋で、粉状の大麻を原料にして、ハシシを密造しました(*4)。ハシシは主に外国に密輸されました(*4)。
1960年代半ばにヒッピー達がケタマ周辺でハシシの密造を始めたといわれています(*4)。背景には、当時のヨーロッパにおいてハシシの需要が旺盛だったことがあるようです(*4)。
ハシシの別名としては「チャラス」「チョコ」があります(*5)。
一方「大麻の花穂や葉を乾燥させたもの」がマリファナと呼ばれます(*5)。
北米ではマリファナ生産が盛況なことから(*6)、ハシシよりもマリファナの供給量が多いと考えられます。
日本でも1990年代東京の上野にてイラン系売人が1gにつき数千円の価格帯でハシシを密売していました(*7)。2000年代日本のハシシの小売価格(末端価格)は1gにつき8,000円以上で、マリファナの小売価格は1gにつき4,000円以上でした(*8)。
<引用・参考文献>
*1 『[日経BPムック]ナショナル ジオグラフィック 別冊 マリファナ 世界の大麻最新事情』(2020年、日経ナショナル ジオグラフィック社), p9
*2 『<麻薬>のすべて』(船山信次、2019年、講談社現代新書),p175
*3 『[日経BPムック]ナショナル ジオグラフィック 別冊 マリファナ 世界の大麻最新事情』,p74
*4 『エリア・スタディーズ 63 モロッコを知るための65章』「大麻 キーフとハシーシュ」(斎藤美津子、2019年、明石書店),p111-114
*5 『マトリ 厚労省麻薬取締官』(瀬戸晴海、2020年、新潮新書), p80
*6 『週刊エコノミスト』2017年6月6日号「カナダで嗜好用の大麻合法化へ 北米が大麻産業の集積地に」(佐藤哲彦), p93-94
*7 『中国「黒社会」の掟-チャイナマフィア』(溝口敦、2006年、講談社+α文庫), p118
*8 『裏社会 噂の真相』(中野ジロー、2012年、彩図社), p213
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