昔、トップを置かずに活動していた1次団体のヤクザ組織がありました。熊本県を拠点にした熊本連合です。1991~2005年まで、熊本連合は1次団体のヤクザ組織として活動しました(*1)。1次団体において連合型の組織形態をとるヤクザ組織は、1990年代以前の関東のヤクザ組織において多かったです。1990年に稲川会が1次団体の組織形態を連合型から垂直型に変更、1991年には住吉会、1994年には松葉会と極東会も垂直型の組織形態に改めています(*2)。裏返せば、それ以前は関東の1次団体のヤクザ組織は連合型の組織形態をとっていたのです。しかし連合型組織のトップをつとめる会長は存在していました。
熊本連合が他組織と異なったのは、トップ職が存在しないことでした(*3)。組織内の最高意思決定は、2次団体による合議制によってなされました (*3) 。持ち回りの当番組織が、通達の役割を果たしました(*3)。熊本連合は、山野会、大久保一家、大村一門、西心会、虎門会の5団体によって1991年結成されました(*1)。熊本連合は、暴対法の「指定暴力団」に公安委員会から指定されませんでした(*3)。しかし2005年、熊本連合は解散します(*1)。虎門会と大村一家は熊本會という組織を新たに立ち上げます(*1)。熊本會は、2016年1月27日熊本會三代目継承式で「親子結縁盃式」を行っており、1次団体の組織形態に「親子関係」を導入していることが窺えます(*1)。熊本會の場合、垂直型の組織形態をとっていることが分かります。
<引用・参考文献>
*1 『実話時代』2016年4月号, p13-16
*2 『ヤクザに学ぶ 伸びる男 ダメなヤツ』(山平重樹、2008年、徳間文庫), p332-333
*3 『洋泉社MOOK・勃発!関東ヤクザ戦争』(有限会社創雄社『実話時代』田中博昭編、2002年、洋泉社), p161
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