テキヤ組織はかつて「演歌師」ビジネスも行っていました(*1)。演歌師は路上で歌を披露し、集まった客に披露中の歌の「歌詞パンフレット」を販売しました(*1)。演歌師業においてテキヤ組織は、歌という「無料コンテンツ」で集客し、歌詞パンフレットという「有料コンテンツ」で収益を上げるというビジネスモデルをとっていました。
1930年代のジャマイカ(当時はイギリスの植民地)でも、同様のことが行われていたようです。スリム・ベックフォード、サム・ブラックウッドという二人のストリートシンガー(路上歌手)は、路上で歌う一方、歌詞カードを1枚1ペニーで販売していたようです(*2)。つまりスリム・ベックフォード、サム・ブラックウッドは「ジャマイカ版演歌師ビジネス」をしていたことになります。
<引用・参考文献>
*1 『テキヤと社会主義 1920年代の寅さんたち』(猪野健治、2015年、筑摩書房), p14
*2 『ソリッド・ファンデーション 語り継がれるジャマイカ音楽の歴史』(デイヴィッド・カッツ著・森本幸代訳、2012年、DU BOOKS), p37
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