ヘロインとハリソン麻薬取締法

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 アメリカ合衆国議会は1914年12月「ハリソン麻薬取締法」(Harrison Act)を成立させました(*1)。ハリソン麻薬取締法によりヘロインは規制対象となり、ヘロインの販売や所持に制限がかかりました(*2)。ハリソン麻薬取締法は、アメリカ合衆国初の麻薬取締令でした(*1)。

 ハリソン麻薬取締法は、ヘロインやコカイン等の危険薬物の取り扱いを、「資格者」だけに認めました(*3)。その資格者は使用の記録を正確にしなければなりませんでした(*3)。ハリソン麻薬取締法では当初、許可もなく危険薬物を売ろうとした者には「懲役5年」もしくは「罰金2,000米ドル」が科せられました(*3)。後にその刑罰は重くなりました(*3)。

 1924年以降、ヘロイン製造は「違法行為」となりました(*2)。

 ヘロインは元々「ジアセチルモルヒネ」という物質です(*4)。ジアセチルモルヒネは1875年開発されました(*4)。1898年ドイツのバイエル社はジアセチルモルヒネを喘息、気管支炎、結核治療での鎮静作用のある医薬品として売り出しました(*2) (*4)。医薬品名が「ヘロイン」でした(*2) (*4)。

 日本でも現在ヘロインは「麻薬および向精神薬取締法」により違法薬物となっています(*5) (*6)。ヘロインの摂取方法としては、主に吸煙や静脈注射が知られていました(*7)。また2000年代のアメリカ合衆国では、皮下注射や鼻からの吸引でヘロインを摂取する事例も見られました(*8)。

<引用・参考文献>

*1 『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』(ヨアン・グリロ著、山本昭代訳、2014年、現代企画室),p48

*2 『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』(ベス・メイシー著、神保哲生訳、2020年、光文社), p39-42

*3 『Cocaine: An Unauthorized Biography』(Dominic Streatfeild,2003,Picador), p156

*4 『日中アヘン戦争』(江口圭一、1988年、岩波新書), p20-21

*5 『アジア遊学260 アヘンからよむアジア史』(内田知行、2021年、勉誠出版), p6

*6 『マトリ 厚労省麻薬取締官』(瀬戸晴海、2020年、新潮新書), p106

*7 『中国「黒社会」の掟-チャイナマフィア』(溝口敦、2006年、講談社+α文庫), p190,270

*8 『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』, p150-153

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