バイカーギャングの周辺者

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 バイカーギャングの「準構成員」として位置づけられるのが「プロスペクツ」(Prospects)です(*1)。プロスペクツは末端構成員の「パッチホルダーズ」(Patchholders)の命令に従って活動することが求められます(*1)。パッチ(patch)とはワッペンのことで、各バイカーギャングは独自のパッチを持っています(*2)。バイカーギャングのパッチは通常「上段」「組織ロゴ」「下段」の3つがあります(*2)。上段(top rocker)パッチには「組織名」が入り、下段(bottom rocker)には「組織もしくは支部の活動場所(地名)」が入ります(*2)。

 プロスペクツは基本的に、定例会議議での出席及び投票の権利を有していません(*1)。組織は構成員(パッチホルダーズ以上)には全てのパッチを与えますが、プロスペクツには下段のパッチしか与えません(*3)。構成員及びプロスペクツは、袖なしデニムやレザーベストの背部にパッチを縫い付け、着用しました(*3)。下段のパッチしかないベストを着ている者はプロスペクツであることが分かります。パッチ付きの服は「カット」(cut)と呼ばれ、ほとんどの組織は構成員及びプロスペクツに対し、バイク乗車時にはカット着用の義務を課しています(*2)。

 また「バイカーギャングの周辺者」として位置しているのが「ハングアラウンズ」(Hangarounds)、「フレンズ・オブ・クラブ」(Friends of the Club)です(*1)。ハングアラウンズ、フレンズ・オブ・クラブの者はプロスペクツ同様、定例会議での出席及び投票の権利を有していません(*4)。また両者は組織の資金獲得活動にも関与できません(*4)。当然、両者には組織専用のワッペンも与えられません(*4)。両者はバイカーギャングのイベントに参加することはでき(*1)、バイカーギャングの構成員らとは顔見知り以上の関係を持っています(*1)。両者の中には、プロスペクツに進む者もいます(*1)。

 ハングアラウンズは別名「スリック・バックス」(slick backs)と呼ばれています(*5)。ハングアラウンズのベストには「何も付いていない」ことから、スリック・バックス(滑らかな背中)という言葉が用いられています(*5)。

<引用・参考文献>

*1 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』(Thomas Barker,2014,Routledge), p99

*2 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』, p9-10

*3『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』(Arthur Veno,2012,Allen & Unwin), p49

*4 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』, p78-79

*5 『Running with the Devil: The True Story of the ATF’s Infiltration of the Hells Angels』(Kerrie Droban,2009,Lyons Press‎), p9

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