2012年時点のオーストラリアのバイカーギャング業界において、構成員は所属組織(クラブ)に会費として年間約500豪ドルを支払うことが求められました(*1)。現在(2022年6月10時点)の為替レートでは1豪ドル=約95円となっています。構成員は1年に約4万7,500円(現在の為替レートで計算すると)を払っていたことになります。またバイカーギャングでは罰金制度も敷かれていました(*1)。例えば集団走行に遅刻した構成員には罰金が科されました(*1)。
会費、罰金に加えて、物品販売もクラブの資金吸収方法の1つでした(*1)。クラブは構成員に通常の小売価格よりやや低い価格でビールやバイク部品を販売していました(*1)。またクラブのステッカー等も構成員は購入を余儀なくされました(*1)。
クラブは構成員から徴収した金を、主に組織施設(クラブハウス)の運営費用、保釈金、弁護士費用などに使っていました(*1)。3万~5万豪ドルがクラブハウスの年間運営費用の相場でした(*1)。多くのクラブはクラブハウスを所有していました(*1)。
クラブの中には合法領域ビジネスに出資するクラブもありました(*1)。出資先としては刺青店や売春宿があり、また手堅い事業に出資されることもありました(*1)。
またアメリカ合衆国系バイカーギャング「ヘルズ・エンジェルス」(Hell’s Angels)のメルボルン(ビクトリア州)支部は、ニューサウスウェールズ州南部の街・イーデンに15ヘクタールの海岸沿いの土地を所有していました(*1)。1ヘクタールは、平方メートル(㎡)に直すと、1万平方メートル(100m×100m)になります。構成員らは休日その土地を利用できました(*1)。またメルボルン支部はキャンプ利用者にも土地を貸し出していました(*1)。メルボルン支部は不動産の「大家業」を行っていたのです。
図 イーデンの地図(出典:Googleマップ)
<引用・参考文献>
*1 『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』(Arthur Veno,2012,Allen & Unwin), p100-101
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