オーストラリアのバイカーギャング「レベルズ」(Rebels)は、オーストラリア国内で最多構成員数を擁していました (*1)。レベルズの有名なトップにアレックス・ベラ(Alex Vella)がいました(*2)。アレックス・ベラは地中海のマルタ（現在のマルタ共和国）の出身で、14歳の時家族とともにオーストラリアに移住しました(*3)。1972年アレックス・ベラはレベルズに入り、シドニー支部を開設しました(*3)。アレックス・ベラは1973年からレベルズ全体のトップ（national president）に就き、各支部を統括、レベルズをオーストラリア最多構成員数の組織にまで拡張させました(*4)。
レベルズの源流組織は1969年ブリスベンで結成されました(*3)。源流組織の名前は「コンフェデレイツ」（Confederates）でした(*5)。この源流組織の創設者は、クリント・ジャックス（Clint Jacks）でした(*5)。
2015年時点でレベルズはコスタリカやカナダ、ヨーロッパではドイツやギリシャなど20カ国に進出していました(*3)。2015年時点でオーストラリア国内のレベルズ構成員は2,000人以上いました(*4)。
またアレックス・ベラは富豪としても知られていました。1995年の裁判記録から、アレックス・ベラは、70万豪ドル相当のオフィスビル、50万豪ドル相当の自宅、38万豪ドル相当の産業用地、マルタに別荘を所有していたことが明らかになりました(*6)。加えてロールス・ロイス2台、複数のシボレー・コルベット、41台のハーレーダビッドソンをアレックス・ベラは所有していました(*6)。アレックス・ベラはレベルズの活動からではなく、投資とバイク販売により収益を上げていると訴えていました(*6)。
2014年6月アレックス・ベラは故郷のマルタを訪れた際、オーストラリア連邦政府によりビザが取り消されました(*4)。以降アレックス・ベラはオーストラリアに帰れず、マルタに滞在し続けています(*4)。アレックス・ベラは47年間オーストラリアに居住していたものの、市民権を獲得していませんでした(*4)。ちなみにマルタにもレベルズは進出しています（*7）。
アレックス・ベラ出身のマルタは、1964年イギリスから独立しました（*8)。マルタの人々はマルタ語に加えて、イギリスの植民地だったこともあり英語を話すことができました（*8)。第二次世界大戦後、マルタからオーストラリアに移住する人数が増えました（*8)。マルタ系の多くは、シドニーやメルボルンに住みました（*8)。
＜引用・参考文献＞
*1 『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』（Arthur Veno，2012，Allen & Unwin）, p67
*2 『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』, p83
*3 ABC NEWSサイト「Alex Vella: From poverty to president of Australia’s feared Rebels Motorcycle Club」(the National Reporting Team’s Mark Willacy in Malta,2015年7月13日)
https://www.abc.net.au/news/2015-07-13/who-is-alex-vella/6607342
*4 ABC NEWSサイト「Rebels boss Alex Vella, stranded in Malta, speaks out over legal battle to return to Australia」(the National Reporting Team’s Mark Willacy in Malta and Alison McClymont,2015年7月13日)
*5 『The One Percenter Encyclopedia: The World of Outlaw Motorcycle Clubs from Abyss Ghosts to Zombies Elite (English Edition)』Kindle版「Rebels」（Bill Hayes,2018, Motorbooks）
*6 『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』, p184
*7 malta todayサイト「Kenny Bugeja, Rebels Malta Motorcycle Club sergeant-at-arms」(Karl Azzopardi,2020年3月1日)
*8 『エリア・スタディーズ7 オーストラリアを知るための58章 【第3版】』「さまざまな民族集団 社会主流化度の差と母国での対立の輸入」（越智道雄、2011年、明石書店）,p227-228
コメント