2000年代オーストラリアバイカーギャング業界において比較的に「業界内の調和」が保たれていた地域がビクトリア州でした(*1)。ビクトリア州はオーストリア南東部に位置し、メルボルンを州都とします。ビクトリア州ではバイカーギャング同士間のネットワークが機能しており、またモーターサイクル連合評議会(United Motorcycle Councils)がバイカーギャング同士の「紛争調整機関」としての役割を果たしていたようです(*1)。
モーターサイクル連合評議会の運営主体はバイカーギャングです(*2)。モーターサイクル連合評議会には多くのバイカーギャングが集い、評議会を通じ情報発信等を行っています(*2)。一般的にモーターサイクル連合評議会は「広報機関」として機能しています(*2)。
2008年10月ビクトリア州内でレベルズ(Rebels)とバンディドス(Bandidos)の間で暴力事件(レベルズ関連組織の一員がバンディドス構成員1名を射殺等)が起きましたが、仕返し等の抗争には至らず、和解が成立した模様です (*1)。ビクトリア州のモーターサイクル連合評議会が抗争を防ぐ為に、調停に入ったと考えられます。
一方、2000年代オーストラリアバイカーギャング業界において比較的に「業界内の調和」が保たれていなかった地域がニューサウスウェールズ州でした(*1)。ニューサウスウェールズ州はビクトリア州の上に位置しており、シドニーを州都とします。
オーストラリアの人口は約2,576万人(2021年12月時点)です(*3)。またオーストラリアの最多人口都市は約536万人のシドニーで、2位が約509万人のメルボルンでした(2021年6月時点)(*4)。シドニーとメルボルンを足した人口は約1千万人であり、国内人口の約4割を占めます。オーストラリアではシドニー、メルボルンともに存在感の大きい都市であることが分かります。ちなみに日本の場合は、最多人口都市は約911万人の東京特別区部で、2位が約365万人の横浜市でした(2021年時点)(*5)。シドニー、メルボルンともに、東京特別区部を下回るものの、横浜市を上回る都市であることが分かります。
オーストラリア全体の人口は日本に比し少ないものの、シドニー、メルボルンは大規模な都市であり、裏社会の利権も大きいことが窺えます。
ちなみにオーストラリアの人口が多い都市3位は約258万人のブリスベン(クイーンズランド州の州都)、4位が約214万人のパース(西オーストラリア州の州都)、5位が約137万人のアデレード(南オーストラリア州の州都)でした(2021年6月時点)(*4)。
<引用・参考文献>
*1 『OUTLAWS THE TRUTH ABOUT AUSTRALIAN BIKERS』(Adam Shand,2013,Allen & Unwin), p192-193
*2 『Patched: The History of Gangs in New Zealand』(Jarrod Gilbert,2021,Auckland University Press), p281-282
「National, state and territory population tables Various tables of population, components of change and rates, by state and territory」
「Capital cities Population change」
*5『データブック オブ・ザ・ワールド 2022年版 -世界各国要覧と最新統計-』(二宮書店編集部、2022年、二宮書店),p48
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