モンゴルズはヘルズ・エンジェルス入りを目論んでいた

　アメリカ合衆国系バイカーギャングのモンゴルズ（Mongols）の前身は、チカノ系刑務所ギャングで、1969年東ロサンゼルスの刑務所で結成されました(*1)。1970年代前半カリフォルニア州モンテベロ市で、先述のチカノ系刑務所ギャングはストリートギャング、バイカークラブと合併し、モンゴルズを結成しました(*2)。モンゴルズという組織名は、チンギス・ハーンが創設した「モンゴル帝国」から来ています(*2)。

　結成時のモンゴルズ構成員はほとんどヒスパニックでした(*2)。ゆえに組織内のコミュニケーションはスペイン語で行われていました(*2)。しかし時代が経つうちに、モンゴルズ内のコミュニケーション言語は英語に切り替わっていきました(*2)。

　1980年モンゴルズは「ヘルズ・エンジェルス」（Hell’s　Angels）入りを目論み、ヘルズ・エンジェルスに打診しました(*2)。しかしヘルズ・エンジェルスはヒスパニックに対する差別感情を持っていた為、拒否をしました(*2)。ヘルズ・エンジェルスの対応に対し、モンゴルズトップ(president)のロジャー・ピニー(Roger Pinny)はモンゴルズに対する侮辱だと捉えました(*2)。以降、両団体の間では抗争が起き、対立関係が深まっていきました(*3)。

＜引用・参考文献＞

*1 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime　Second Edition』（Thomas Barker，2014，Routledge）, p118

*2 『The Fat Mexican: The Bloody Rise of the Bandidos Motorcycle Club』（Alex Caine，2010，Vintage Canada）, p192-193

*3 『Angels of Death: Inside the Bikers’ Global Crime Empire』（William Marsden＆Julian Sher,2007,Hodder & Stoughton）, p66-67