新宿2丁目とヤクザ組織

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 今月17日警視庁は住吉会幸平一家堺組幹部ら9人を暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕しました(*1)。今年(2022年)1月2日午前2時15分頃、容疑者の堺組幹部らは新宿2丁目のゲイバーを訪れた後、酒の提供が遅いことに怒り、店長を土下座させるまでに至りました(*1)。また数時間後の午前4時頃、容疑者らはそのゲイバーを仲間に襲撃させ、酒瓶35本、入口ドアを破壊させました(*1)。目撃者の警察通報により、警察側はゲイバー襲撃事件を把握し、犯人を追っていました(*1)。

 幸平一家堺組は新宿や東中野を縄張りとしてきました(*2)。また同じく幸平一家の中核組織・加藤連合会は歌舞伎町を縄張りとしてきました(*2)。2020年6月歌舞伎町で起きた「スカウト狩り」事件から、加藤連合会の下部団体が新宿などで活動するスカウトグループの「後ろ盾」になっていたことが明らかになりました(*3)。新宿の裏社会において幸平一家の存在感は大きいです。

 しかし新宿2丁目に関しては、昔から極東会松山連合会眞勇会(旧大山会)の庭場(テキヤ組織の縄張り)でした(*4)。太平洋戦争終了以降、極東会の源流である「関口一門」(関口愛治系統のテキヤ組織群、その系統の一人親方群)の勢力が新宿に進出しました(*5)。極東会も新宿の裏社会においては大きな存在でした。

 過去、池袋において幸平一家と極東会は1983年、1998年に抗争に至りました(*6)。しかし新宿では両団体は目立った抗争には至っていません。

 襲撃されたゲイバーはミカジメ料を払う店ではなかったようですが(*1)、堺組幹部らによるゲイバー襲撃事件は、幸平一家による「縄張り荒し」とも受け取られる出来事であったことが分かります。極東会側がどう反応したかは不明です。

<引用・参考文献>

*1 『日刊ゲンダイ』2022年10月21日号(20日発行)「元関東連合最高幹部の極ワル伝説と武勇伝」

*2 『新装版 ヤクザ崩壊 半グレ勃興―地殻変動する日本組織犯罪地図』(溝口敦、2015年、講談社+α文庫), p20

*3 『日刊ゲンダイ』2020年10月31日号(30日発行)「新宿・歌舞伎町 ケツ持ちヤクザによるスカウト狩りの全貌」

*4 『実話時代』2017年7月号, p37-41

*5 『SANWA MOOK ウラ社会読本シリーズ⑤ 極東会大解剖 「強さ」を支えるのは流した血と汗の結晶だ!』(実話時代編集部編、2003年、三和出版), p10-11

*6 『SANWA MOOK ウラ社会読本シリーズ⑤ 極東会大解剖 「強さ」を支えるのは流した血と汗の結晶だ!』, p80-83,100-103

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