バイカーギャングの構成員は正業に就いている

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 アウトロー・モーターサイクル・クラブ(別名:バイカーギャング)は文字通り「趣味サークル」です。趣味サークルである以上、アウトロー・モーターサイクル・クラブは構成員の「収入」を保証する必要はないです。しかし実際はアウトロー・モーターサイクル・クラブの多くは違法薬物ビジネス等で違法収益を上げており(*1)、組織実態は趣味サークルよりも「違法収益活動組織」に近いです。

 一方でアウトロー・モーターサイクル・クラブの構成員らは通常、正業に就いています(*2)。収益を上げている組織に属しているものの、構成員が別の収益活動(正業)に従事している一因としては、構成員個々人における「収入の安定性及び持続性の確保」があると考えられます。

 違法領域であるがゆえに活動収益は安定性及び持続性に欠けやすく、各構成員のクラブ関連の違法収入も同様であると考えられます。ゆえにクラブ関連の違法収入だけを全収入とする構成員の生活は不安定になりそうです。

 もう一つの要因としては、警察組織の取締り対策が考えられます。正業に就いていない構成員は「収入源」を常に疑われることになり、取締りの対象になりやすいです。ゆえに構成員にとって正業の就業は、違法収入を隠す為の「装置」(隠れ蓑)としての役割も果たしていると考えられます。

 「アウトローズ」(Outlaws)のジャック・ロスガ(Jack Rosga)の場合、トラック運送会社を経営していました(*3)。ジャック・ロスガは引越業に長年携わっており、トラック運送会社の経営で年収10万ドルを得ていました(*3)。ジャック・ロスガは、アウトローズのアメリカ合衆国勢のトップ職(National President)に就きました(*3)。

 オーストラリアのアウトロー・モーターサイクル・クラブ業界では構成員の多くは従来、バイク修理業、刺青ビジネスの仕事に就いていました(*2)。2010年代からは水耕栽培業を正業にする構成員が多くなりました(*2)。水耕栽培業に就いた構成員は、実際は大麻を栽培していたと考えられます(*2)。

 オーストラリアでは2022年現在医療大麻は解禁されていますが、嗜好用大麻は解禁されていません(*4)。

<引用・参考文献>

*1 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』(Thomas Barker,2014,Routledge), p96

*2 『The Brotherhoods: Inside the Outlaw Motorcycle Clubs』(Arthur Veno,2012,Allen & Unwin), p104-105

*3 『Outlaws: Inside the Hell’s Angel Biker Wars』(Tony Thompson,2012,Hodder Paperback), p309

*4 『週刊エコノミスト』2022年6月28日号「豪州 香料に大麻のジン販売」(守屋太郎), p85

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