28sのゴールド・ラインとシルバー・ライン

  • URLをコピーしました!

 南アフリカでは「26s」「27s」「28s」という3団体の刑務所ギャングが活動してきました(*1)。3団体は「ナンバーギャング」(Number gangs)と総称されました(*1)。

 28s構成員は「ゴールド・ライン」(gold line)と「シルバー・ライン」(silver line)の2つに大別されました(*2)。ゴールド・ラインは「軍事部門」、シルバー・ラインは「非軍事部門」でした(*2)。ゴールド・ラインのトップ職は「君主」(Lord)でした(*3)。「君主」の下には「裁判官」(Judge)、「将軍」(General)、「大佐」(Colonel)、「ワイヤレス・オペレーター」(Wireless Operator)、「中佐」(Lieutenant)という役職がありました(*3)。「君主」より下の役職者の中で最も上位だったのが「裁判官」でした(*4)。

 ゴールド・ラインの戦闘部隊は「サード・ディビジョン」(third division)と呼ばれました(*5)。ゴールド・ラインの「中佐」がサード・ディビジョンの上に位置していました(*3)。

 他団体はシルバー・ラインを「ワイフィース」(wyfies:妻たち)と呼んでいました(*2)。28sは同性愛を認めてきました(*2)。ゆえに他団体はシルバー・ラインを「妻役」と見なしていたのです(*2)。一方27sは同性愛を認めてきませんでした(*2)。27sと28sの前身は「ニネヴァイツ」(Ninevites)でした(*1)。ニネヴァイツは1910年代中頃まで活動していました(*1)。

 2002年後半から2003年前半にポルスモア(Pollsmoor)刑務所でジョニー・スタインバーグは、28sの服役囚マガディーン・ウェンツェル(Magadien Wentzel)にインタービューしました(*6)。マガディーン・ウェンツェルの生年月日は、1959年もしくは1960年の3月8日といわれています(*7)。

 マガディーン・ウェンツェルによれば、シルバー・ラインは妻役ではなく、「組織のブレイン役」でした(*2)。またシルバー・ラインには「ムシャリ」(Mtshali)、「ニャンギ」(Nyangi)と呼ばれる2つのトップ職がありました(*2)。ムシャリの方がニャンギより上に位置していました(*4)。

 マガディーン・ウェンツェルによれば、「セックス・サン」(sex-son)と呼ばれる者達が「28sの妻役」を務めていました(*8)。セックス・サンは28sの準構成員のように見えますが、「28sの一員」には決してなれませんでした(*8)。28sはセックス・サンを「外部者」として扱っていたのです。

 またマガディーン・ウェンツェルによれば28sには「トゥエルブ・ポインツ」(Twelve Points)と呼ばれる最高意思決定機関がありました(*4)。トゥエルブ・ポインツは、「6人のゴールド・ライン」と「6人のシルバー・ライン」の計12人で構成されていました(*4)。トゥエルブ・ポインツは「構成員の処分」に関する裁量権及び決定権を有していました(*4)。28s内で最も重い処分は死刑で、2番目に重い処分が「集団レイプ」でした(*4)。集団レイプは28s内では「バンド」(band)と呼ばれていました(*4)。先述のゴールド・ラインの「裁判官」が判決を対象者に言い渡しました(*4)。

<引用・参考文献>

*1 Jonny Steinberg.(2004). Nongoloza’s Children:Western Cape prison gangs during and after apartheid. Centre for the Study of Violence and Reconciliation.

http://www.csvr.org.za/docs/correctional/nongolozaschildren.pdf

*2 『The Number』(Jonny Steinberg,2005, Jonathan Ball Publishers), p147-148

*3  weebly「THE NUMBERS GANG」サイトの「ゴールド・ライン」

https://thenumbersgang.weebly.com/the-gold-line.html

*4 『The Number』, p220-221

*5  weebly「THE NUMBERS GANG」サイトの「サード・ディビジョン」

https://thenumbersgang.weebly.com/the-third-division.html

*6 『The Number』, p32

*7 『The Number』, p78

*8 『The Number』, p146

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次