オーストラリアの501s

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 オーストラリアの移民法(Migration Act)は1958年に制定されました(*1)。2014年の改正により、オーストラリア政府は、移民法501条該当者(犯罪組織グループの一員等)の査証(visa)を取り消すことが可能になりました(*1)。以降、オーストラリアでは移民法501条の該当者は、国外退去処分になりました(*2)。501条による国外退去処分者は通称「501s」と呼ばれました(*2)。

 ジム・デイビッド・サッカー(Jim David Thacker)はオーストラリアにおいてバイカーギャング「バンディドス」(Bandidos)の一員として活動していましたが、2018年8月に501条により国外退去処分となりました(*3)。その後ジム・デイビッド・サッカーはニュージーランドに移住しましたが、バンディドスのニュージーランド勢と不仲になってしまいました(*3)。

 ジム・デイビッド・サッカーは約20人のメンバーとともにバイカーギャングの「モンゴルズ」(Mongols)に移籍、2019年ベイ・オブ・プレンティ地方(北島)に支部を設立しました(*3)。ベイ・オブ・プレンティ地方の支部は、モンゴルズにとってニュージーランドで最初に設けた支部でした(*3)。

 2014年の移民法改正により、意図しない形で、オーストラリアは「アウトロー組織」を他国に「輸出」してしまったのです。

<引用・参考文献>

*1 オーストラリア連邦政府の立法登録簿(The Federal Register of Legislation)サイト「Migration Amendment (Character and General Visa Cancellation) Act 2014」

https://www.legislation.gov.au/Details/C2014A00129

*2 『Gangland: New Zealand’s Underworld of Organised Crime』(Jared Savage,2020, HarperCollinsPublishers), p183

*3 『Gangland: New Zealand’s Underworld of Organised Crime』, p224

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