アーリアン・ブラザーフッド

　「アーリアン・ブラザーフッド」(Aryan Brotherhood)は白人系刑務所ギャングです(*1)。アーリアン・ブラザーフッドは1960年代カリフォルニア州の刑務所内で結成されました(*2)。後にアーリアン・ブラザーフッドの勢力は全米に拡がっていきました(*2)。

　アーリアン・ブラザーフッドは長年、カリフォルニア州内のチノ（Chino）州立刑務所、サン・クエンティン(San Quentin)州立刑務所、フォルサム(Folsom)州立刑務所、連邦刑務所局（Federal Bureau of Prisons）の収監施設（連邦刑務所）において、チカノ系刑務所ギャングの「ラ・エメ」（La Eme）と協力関係を維持してきました(*3)。

　アーリアン・ブラザーフッドとラ・エメは、「ブラック・ゲリラ・ファミリー」（Black Guerilla Family）と「ヌエストラ・ファミリア」 （Nuestra Familia）という刑務所ギャングと対立していました(*1)。ブラック・ゲリラ・ファミリーはアフリカ系アメリカ人の服役囚で構成されていました(*1)。

　1981年イリノイ州のマリオン刑務所（連邦刑務所）内で、アーリアン・ブラザーフッドのクレイトン・ファウンテン（Clayton Fountain）とトーマス・シルバースタイン（Thomas Silverstein）が受刑者のロバート・チャペル（Robert Chappelle）を絞殺しました(*3)。以前ロバート・チャペルがラ・エメのマーティン・“ケト”・バルガス（Martin “Keto” Vargas）を侮辱したことで、両者は対立関係にありました(*3)。ロバート・チャペルが監房に閉じ込められていたことから、ラ・エメのマーティン・バルガスは復讐することができませんでした(*3)。ゆえにアーリアン・ブラザーフッドが、ラ・エメの代わりに、ロバート・チャペルを殺害したのです(*3)。

　現場のアーリアン・ブラザーフッド構成員は前もって、リーダーのバリー・ビルズ（Barry Bills）にロバート・チャペル殺害の許可を取っていました(*3)。当時（1981年時）のアーリアン・ブラザーフッドでは、リーダーのバリー・ビルズが「暴力行使」の決裁権を持っていたことが窺い知れます。

＜引用・参考文献＞

*1 POLICEサイト「History of the Mexican Mafia Prison Gang」（Richard Valdemar,2007年7月24日）

https://www.policemag.com/blogs/gangs/blog/15318747/history-of-the-mexican-mafia-prison-gang

*2 『Dixieland Gangs & Disruptive Groups: Crime & Impact on the Southeast United States(English Edition) Kindle版』（Gabe Morales，2021，Amazon Services International）

*3 『The History of the Mexican Mafia (La eMe)』「Working Relationship with the Aryan Brotherhood」（Gabe Morales，2022）