アウトローズのサポートクラブ

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 アメリカ合衆国系大手バイカーギャングは概ねサポートクラブ(Support club)を抱えています(*1)。サポートクラブとは文字通り、「大手バイカーギャング」を支援する組織のことです(*1)。

  他方、大手バイカーギャングは「支援される側」になります。サポートクラブとの関係において、支援される側の大手バイカーギャングは「マザークラブ」(mother club)と呼ばれました(*2)。

 マザークラブはサポートクラブに対し、違法領域における資金獲得活動、毎月の上納金支払い、抗争時における戦闘要員の派遣等を課しました(*1) (*2)。一般的にサポートクラブは、最寄りのマザークラブ支部に毎月上納金を払いました(*2)。

 サポートクラブの別名は「パペットクラブ」(Puppet club)(*1)、「衛星クラブ」(Satellite Club)(*3)でした。

 サポートクラブ構成員は「将来マザークラブに入る」という目標を持って、サポートクラブで活動をしていました(*2)。マザークラブ側もサポートクラブの優秀な構成員を引き抜いていました(*2)。

 違法薬物の流通ビジネスにおいても両者には「役割分担」があります。マザークラブが「卸売」を担う一方、サポートクラブは「小売」を担います(*1)。違法薬物ビジネスにおいて卸売と小売はともに「裏社会のプレーヤー」であり、両者の取引は「裏社会の領域内」で完結されています。一方、小売は消費者と接する為、「表社会の領域」にも足を踏み入れていなければなりません。また取引機会は、卸売に比し小売の方が多いです。ゆえに検挙リスクは、小売組織の方が高くなります。

 以上からマザークラブからすれば、サポートクラブとは「実質下部団体」の位置づけだったと考えられます。

 またサポートクラブはマザークラブ主催のイベント(ドラッグレース、バイクショー、チャリティイベント)にも携わっていました(*3)。

 結成時は独立系のバイカークラブだったものの、次第に大手バイカーギャングの影響下に置かれていった結果、サポートクラブになったケースもありました(*3)。

 「アウトローズ」(Outlaws) の最大サポートクラブだったのが「ブラック・ピストンズ」(Black Pistons)でした(*4)。アウトローズは1935年イリノイ州シカゴ郊外の小さな街で結成されました(*5)。1950年までにアウトローズはイリノイ州全域から構成員を確保できるまで、勢力を拡張させました(*5)。アウトローズは後にイリノイ州外、また海外にも進出していきました(*6)。またアウトローズはアメリカ合衆国系バイカーギャング「ヘルズ・エンジェルス」(Hell’s Angels)を敵対視していました(*7)。

  アウトローズ最初の海外進出先はカナダで、アウトローズは1977年カナダのオンタリオ州「サタンズ・チョイス」(Satan’s Choice)の1支部を傘下に置き、カナダ進出を果たしました(*6) (*8)。

 ブラック・ピストンズは、「アウトローズ及びアウトローズ傘下団体の支援組織」として2002年ドイツで結成されました(*7)。アウトローズのサイトにおいてもブラック・ピストンズは2002年結成されたと載っています(*8)。

 一方、ブラック・ピストンズのカナダ勢のサイトでは、ブラック・ピストンズの結成年は2001年になっています(*9)。2001年ドイツにおいてブラック・ピストンズのノイヴィート支部(ラインラント=プファルツ州)とファレンダー支部(ラインラント=プファルツ州)が設立されました (*9)。同年(2002年)内にノイヴィート支部は閉鎖しました (*9)。ブラック・ピストンズのファレンダー支部の前身は、「アイアン・ナイツ」(Iron Knights)という組織でした(*9)。アウトローズはドイツにも進出していました(*10)。

 後にブラック・ピストンズはカナダ、オーストラリア、デンマークに進出しました(*7)。またブラック・ピストンズはアメリカ合衆国(2002年進出)、イギリス(2003年進出)、ベルギー(2014年活動再開)、ポーランド(2016年進出)、フィリピン(2016年進出)でも活動していきました(*9)。

 ブラック・ピストンズは「サポートクラブ」という位置づけでしたが、拡張路線をとっていったことがわかります。各地のブラック・ピストンズ支部は結成時の組織目標に従い、アウトローズの支援に回りました(*7)。

 カナダではブラック・ピストンズの「サポートクラブ」がありました。2017年5月「ブラック・フラッグス(Black Flags)MC」というバイカークラブが「ブラック・ピストンズのサポートクラブ」に認定されました(*9)。ブラック・ピストンズは「アウトローズのサポートクラブ」でした。つまりブラック・フラッグスは「サポートクラブのサポートクラブ」になったのです。

 カナダにおいては「アウトローズ」>「ブラック・ピストンズ」>「ブラック・フラッグス」という組織間の力関係があったことが考えられます。

 ちなみにヘルズ・エンジェルスのサポートクラブとしては「レッド・デビルズ」(Red Devils)がありました(*11)。レッド・デビルズは2001年スウェーデンで「ヘルズ・エンジェルスのサポートクラブ」として結成されました(*11)。レッド・デビルズは、ブラック・ピストンズ同様、世界中で活動していました(*11)。

 またバンディドス(Bandidos)のサポートクラブとしては「Xチーム」(X-Team)がありました(*12)。Xチームはヨーロッパ中に支部を持ち、またオーストラリアでも活動していました(*12)。

<引用・参考文献>

*1 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』(Thomas Barker,2014,Routledge), p114-115

*2 『Texas Gang Threat Assessment 2017』「The Role of Outlaw Motorcycle Gang Support Clubs」(Texas Department of Public Safety,2017年7月),p32

https://www.ogia.us/sites/ogia/uploads/TxGangThreatAssessment201707.pdf

*3  James F. Quinn and Craig J. Forsyth.(2009).leathers and rolexs: the symbolism and values of the motorcycle club, Deviant Behavior,30(3),pp5

*4 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』, p116

*5 『The Fat Mexican: The Bloody Rise of the Bandidos Motorcycle Club』(Alex Caine,2010,Vintage Canada), p185

*6 『The Fat Mexican: The Bloody Rise of the Bandidos Motorcycle Club』, p186

*7 『The Fat Mexican: The Bloody Rise of the Bandidos Motorcycle Club』, p187-189

*8 アウトローズのサイト「歴史」

http://www.outlawsmcworld.com/history.htm

*9  ブラック・ピストンズ(カナダ勢)のサイト「歴史」

https://blackpistonsmc-canada.ca/history/

*10 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』, p205

*11 Arjan Blokland etc.(2017). Outlaw bikers in the Netherlands: Clubs, social criminal organizations, or gangs?. In A. Bain, M. Lauchs, (Eds.) Understanding outlaw motorcycle gangs: International perspectives. Durham:Carolina Academic Press.pp6

*12 『The One Percenter Encyclopedia: The World of Outlaw Motorcycle Clubs from Abyss Ghosts to Zombies Elite (English Edition)』Kindle版「X-Team」

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