ばら積み船

　国際貿易の海上輸送では、コンテナ輸送が有名ですが、他に「ばら積み輸送」という方法も用いられています。

　コンテナ輸送では「コンテナ船」が貨物を、ばら積み輸送では「ばら積み船」が貨物を運びます(*1)。ばら積み船は、別名「ドライバルク船」とも呼ばれます(*2)。

　ばら積み船の貨物は、主に石炭、鉄鉱石、穀物などの固体資源です(*2)。ばら積み船の貨物は、梱包されません(*2)。

　ばら積み船の貨物は、船内で輸出エレベーターやサイロ等の専用施設に保管されます(*1)。ちなみにサイロとは、コンクリート製や銅板製の塔状の貯蔵容器です(*3)。貨物はニューマチックコンベヤやバキュームコンベヤでサイロ内に搬入され、サイロからの搬出時は重力利用や機械力が用いられました(*3)。

　ばら積み船の輸送運賃は、コンテナ船の「数分の一」です(*1)。ばら積み船の輸送運賃水準を示すものとしては「バルチック海運指数」があります(*4)。バルチック海運指数は、年初は低く、秋から年末にかけて高くなることが多いです(*4)。

　つまり年初はばら積み船の輸送運賃は低く、秋から年末にかけてばら積み船の輸送運賃は高くなることが多いのです。

　輸送運賃が低いことは、「ばら積み船の需要」が低いことを示しています。そこから世界で、ばら積み貨物（石炭、鉄鉱石、穀物など）の需要が低いことも示唆されます。

　逆に輸送運賃が高いことは、「ばら積み船の需要」が高いことを示しています。そこから世界で、ばら積み貨物（石炭、鉄鉱石、穀物など）の需要が高いことも示唆されます。

　一方、コンテナ船の輸送運賃水準を示すものとしては「上海コンテナ運賃指数」「中国コンテナ運賃指数」などがあります(*5)。

　上海航運交易所が上海コンテナ運賃指数、中国コンテナ運賃指数を毎週金曜日午後に発表しています(*5)。上海コンテナ運賃指数は「上海港発」のコンテナ船輸送運賃を扱い、中国コンテナ運賃指数は「中国の主要10港発」のコンテナ船輸送運賃を扱っています(*5)。

＜引用・参考文献＞

*1 『コンテナから読む世界経済　経済の血液はこの「箱」が運んでいる！』（松田琢磨、2023年、KADOKAWA）, p18-20

*2 『コンテナから読む世界経済　経済の血液はこの「箱」が運んでいる！』, p264

*3 『基本ロジスティクス用語辞典　〔第3版〕』「サイロ」（北澤博、2009年、白桃書房）,p70

*4 日本経済新聞2024年8月6日「【市場を知る　ニュースワード】　海運指数」

*5 『コンテナから読む世界経済　経済の血液はこの「箱」が運んでいる！』, p88-90