ニュージーランドでは「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」(Prohibition of Gang Insignia in Government Premises Act 2013)が2013年成立したことにより、警察や政府機関、地方自治体、学校等の公共施設において、ギャング(アウトロー組織)の記章表示は禁止になりました(*1)。
ニュージーランドの行政側は、アウトロー組織の総称として「ギャング」という言葉を用いていました(*2)。「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」では2013年時、34団体がギャングに指定されました(*2)。
2018年「コマンチェロMC」(Comanchero Motorcycle Club)が、「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」の指定ギャングに追加されました(*3)。また2020年ニュージーランド警察は「モンゴルズMC」(Mongols Motorcycle Club)も「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」の指定ギャングに追加するように提言していました(*3)。
記章とは、バイカーギャング(ワンパーセンターズ系バイカークラブ)でいえば、パッチ(patch)のことになります(*2) (*4)。パッチとは「組織専用のワッペン」のことです(*4)。パッチは袖なしレザーもしくはデニムベストに縫い付けられました(*4)。パッチ付きの上着は「カット」(cut)と呼ばれました(*4)。バイカーギャング構成員は定例会やバイクの乗車時には、カットを着用しなければなりませんでした(*4)。
2023年3月時点「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」の指定ギャングは、36団体でした(*5)。先述のモンゴルズMCも指定ギャング(36団体)に含まれていました(*5)。コマンチェロMC(2018年追加)、モンゴルズMCを除く34団体は全て、2013年時にも指定されていました(*2) (*5)。
つまり2013年の成立時に指定された34団体に、コマンチェロMCとモンゴルズMの2団体が加わって、36団体になっていることが分かります。
「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」は2023年5月に改正されました(*1)。2023年5月改正では、新たに4団体が「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」のギャングに指定されました(*1)。4団体とは「クリップス」(Crips)、「フィンクスMC」(Finks MC)、「フル・ブラディド・アイランダーズ」(Full Blooded Islanders)、「クジ・スクワッド」(Kuji Squad)でした(*1)。以降、「公共施設におけるギャング記章の使用禁止法」の指定ギャングは40団体になったのです。
<引用・参考文献>
*1 ニュージーランド警察サイト
「Cabinet Legislation Committee minute – Prohibition of Gang Insignia in Government Premises Amendment」(2023年)
*2 New Zealand Legislationのサイト
「Prohibition of Gang Insignia in Government Premises Act 2013 – 4.Interpretation」
https://www.legislation.govt.nz/act/public/2013/0056/latest/DLM4301610.html
*3 ニュージーランド警察サイト
「Proactive Release Prohibition of Gang Insignia in Government Premises Amendment Regulations 2020」(2020年)
*4 『Biker Gangs and Transnational Organized Crime Second Edition』(Thomas Barker,2014,Routledge), p9-10
*5 ニュージーランド警察サイト
「Ministerial consultation: Prohibition of Gang Insignia in Government Premises Amendment Regulations 2023」(2023年3月)
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