アメリカ合衆国のシチリア系アウトロー組織(アメリカ・マフィア)は「洗車場の経営」に関与していました(*1)。洗車場経営の目的の1つとしては、資金洗浄がありました。
ある時に国税庁の職員は、アメリカ・マフィアの関与する洗車場を監視していました(*1)。猛吹雪の日、その洗車場の経営者は、自動車120台の利用があったと、報告しました(*1)。しかし実際その日に、その洗車場を利用した自動車は1台もありませんでした(*1)。つまり洗車場の経営者は、架空売上を計上したのです。
仮に洗車場の利用料金が1台15ドルだったとします。120台が利用した場合、売上は1,800ドルになります。しかし実際は1台も利用がなかった為、その洗車場には1ドルも入ってきてはいません。アメリカ・マフィアは、違法領域で獲得した1,800ドルを、「洗車場の売上」にしたのです。その為に、架空売上は計上されていたのでした。
また別の資金洗浄方法としては、プエルトリコ(アメリカ合衆国の保護領)において、闇市場での当選宝くじの購入がありました(*1)。
アメリカ・マフィアにとって、スイス系の銀行は「資金洗浄装置」として機能していました(*1)。アメリカ・マフィアはスイス系の銀行を利用して、アメリカ合衆国の優良企業に投資していました(*1)。スイス系銀行はアメリカ合衆国の証券会社に「オムニバス口座」(omnibus accounts)を持っていました(*1)。アメリカ・マフィアの金がオムニバス口座を経由し、アメリカ合衆国の優良企業に投資されていったのです(*1)。
<引用・参考文献>
*1 『The Mafia Encyclopedia, Third Edition』(Carl Sifakis,2005,Facts On File), p259
コメント