アメリカ合衆国の裏社会では1960年代後半から1970年代にかけて「レッズ」(Reds)と呼ばれる薬物が流行りました(*1)。レッズとは、セコバルビタールナトリウム(secobarbital sodium)という薬物の「俗称」でした(*2)。
アメリカ合衆国の製薬会社イーライリリー・アンド・カンパニーがセコバルビタールナトリウムを開発し、「セコナール」(Seconal)という商品名で販売していました(*2)。セコナールは、鎮静剤として処方されました(*1)。
セコナールは当初「赤色カプセル剤」の外見だったことから、「レッズ」という俗称が生まれました(*2)。
バイカークラブの間でもレッズ(セコナール)は悪用されていました(*2)。バイカーギャングはレッズ(セコナール)の使用を禁止していきました(*1)。しかしその後もバイカーギャングは違法薬物と「接続」していき、フェンサイクリジン(phencyclidine)やメタンフェタミン(methamphetamine)に手を出していきました(*1)。
フェンサイクリジンに関しては、アメリカ合衆国系バイカーギャング「ヘルズ・エンジェルス」(Hell’s Angels)が1960年代後半、フェンサイクリジンの密造及び密売をしていました(*3)。
違法薬物の小売市場においてフェンサイクリジンは「DOA」(Dust of Angelsの略)という名前で流通していました(*3)。DOAにおいてフェンサイクリジンは粉状にされており、大麻と混ぜて、吸煙されました(*4)。
<引用・参考文献>
*1 『Gods of Mischief: My Undercover Vendetta to Take Down the Vagos Outlaw Motorcycle Gang』(George Rowe,2014,Atria), p62
*2 『Terry the Tramp: The Life and Dangerous Times of a One Percenter』(K. Randall Ball,2022,5-Ball Inc), p95-96
*3 『Angels of Death: Inside the Bikers’ Global Crime Empire』(William Marsden&Julian Sher,2007,Hodder & Stoughton), p40-41
*4 『<麻薬>のすべて』(船山信次、2011年、講談社現代新書),p233-234
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