コーヒー業界において焙煎業者は、1990年代から生豆(なままめ)の在庫を持たなくなりました(*1)。コーヒー生豆は生産国から消費国に輸入された後、消費国において焙煎されます(*2)。焙煎とは、生豆を180~250℃で加熱する処理のことです(*2)。焙煎により水分は蒸発し、生豆の色は褐色、黒褐色に変わっていきます(*2)。
生豆は焙煎により「焙煎豆」に変わります(*2)。焙煎豆は香ばしい匂いと苦味を持っています(*2)。焙煎豆を粉砕し、お湯で抽出すれば、コーヒーができあがります(*2)。
焙煎事業は「コーヒー消費国地の業態」といえます。当然、焙煎業者にとって生豆がないと、事業の遂行は困難です。
1990年代以降、貿易業者(生豆輸入業者)が「焙煎業者の代わり」に生豆の在庫を持っていきました(*1)。当然、貿易業者が在庫費用を負担しました(*1)。この貿易業者による在庫管理は、「サプライヤー管理在庫」に該当しました(*1)。
サプライヤー管理在庫に近い言葉として「ベンダー主導型在庫管理」(VMI:vendor managed inventory)があります(*3)。
<引用・参考文献>
*1 『スペシャルティコーヒーの経済学』(カール・ウィンホールド著、古屋美登里・西村正人訳、福澤由佑監修・解説、2024年、亜紀書房),p67,72
*2 『珈琲の世界史』(旦部幸博、2017年、講談社現代新書),p21
*3 『基本ロジスティクス用語辞典 〔第3版〕』「VMI」(沼本康明、2009年、白桃書房),p255
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