アルバニア系アウトロー組織の送金方法の1つ

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 アルバニア系アウトロー組織は、自国アルバニアに違法ビジネスの収益を送る際、国際旅客輸送の許可を受けた陸上輸送会社を利用していました(*1)。その中にはアルバニアで許可を受けた輸送会社もあれば、他国(イギリス、イタリア、フランスなど)で許可を受けた輸送会社もありました(*1)。国際旅客輸送会社の運転者もしくはオーナーが「運び役」を担っていました(*1)。運び役の報酬は、輸送額の3~7%でした(*1)。

 運び役は主に現金をミニバスなどでアルバニアに輸送していました(*1)。アルバニア系アウトロー組織は、手荷物輸送(ハンドキャリー)に近い方法で、送金していたのです。

 2020年9月フランスの警察は、一つのアルバニア系アウトロー組織を摘発しました(*1)。そのアルバニア系アウトロー組織は、現金7万ユーロと800gの金宝飾品を、アルバニア人の運び役にミニバスで輸送させていました(*1)。また同組織は、別のアルバニア人の運び役にも同じミニバスで、現金1万ユーロと500gのゴールドを輸送させていました(*1)。フランスの警察が両方において、それぞれの運び役を検挙したことで、上記の輸送内容が明らかになりました(*1)。

 日本の裏社会では風俗スカウトグループ「アクセス」が、「現金をレターパックに入れて発送する」という方法を用いていました(*2)。郵便法は「現金書留以外で現金を送ること」を禁止しています(*2)。

 実際には風俗業者が、スカウトバックや顧問料等をアクセスに支払う際、現金をレターパックに入れて発送する方法をとっていました(*2)。アクセスが風俗業者に支払い方法として「現金をレターパックに入れて発送する」という方法を指示していたのです(*2)。後に警視庁保安課は2025年、アクセスのリーダー遠藤和真を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで逮捕しました(*2)。

 バブル期以降の関東では、関西のヤクザ組織(主に「山口組」)が代紋を掲げず、「企業」の体裁をとって進出してきました(*3)。関西ヤクザ組織系勢力は関東で資金獲得活動し、その獲得資金は現金で関西に運ばれました(*3)。

<引用・参考文献>

*1 Balkan Insightサイト「Crime Couriers: How Albanian Gangs Send Their Illegal Profits Back Home」(Anila Hoxha,2024年8月5日)

https://balkaninsight.com/2024/08/05/crime-couriers-how-albanian-gangs-send-their-illegal-profits-back-home

*2『日刊ゲンダイ』2025年4月26日号(25日発行)「性風俗あっせんスカウトバック隠匿の手口」

*3『情報の情報Ⅲ』「経済事件の“常連メンバー”の取締りを決意した警視庁(1996・12・15 通巻337号)」(1997年、現代産業情報研究所),p189-191

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