1953年神戸市三宮では「八紘会」(はっこうかい)という連合会が活動していました(*1)。「浪花鶴」「五友会」「五島組」「五島連合」などの独立組織が八紘会を構成していました(*1)。
五島組、五島連合などの源流は「山丁五島組」でした(*1) (*2)。大野福次郎が山丁五島組を結成しました(*2)。大野福次郎の兄弟分として
本多仁介(本多会初代会長)がいました(*3)。山丁五島組(大野福次郎組長)の若衆頭は、松下庄太郎でした(*3)。
1947年もしくは1953年大野福次郎が死去すると、山丁五島組は分裂しました(*2)。
その三宮にはかつて闇市がありました。
太平洋戦争終了(1945年8月)の直後、三宮には闇市が形成されました(*4)。三宮の闇市は「三宮自由市場」と呼ばれ、また日本最大の規模と目されていました(*4)。当時神戸市には、その三宮を含めて16の闇市が確認されていました(*4)。翌1946年8月、全国規模で闇市の取り締まりが行われました(*5)。三宮自由市場では同年(1946年)8~9月、露店の撤去が本格化していきました(*6)。
実は前年(1945年)から三宮自由市場では露店の撤去が行われており、1945年末に日本人の店舗兼住居約50軒が三宮自由市場から加納町5丁目と三宮1丁目北東部の空き地に移転し、安価な飲食業を始めました(*6)。この商店街は「三宮ジャンジャン市場」と呼ばれました(*6)。
また商人組織「朝鮮人自由商人連合会」は、三宮自由市場における露店撤去を受け、移転先として現在の中央区雲井通6丁目と旭通4丁目をおさえました(*6)。朝鮮人自由商人連合会は、「在日本朝鮮人連盟」(在留外国人組織の1つ)のもとで1945年12月末に結成されました(*6)。
朝鮮人自由商人連合会はその中央区雲井通6丁目と旭通4丁目に、長屋式の集合店舗施設(約1,000軒)を建てました(*6)。その長屋式の集合店舗施設は「三宮国際マーケット」と呼ばれ(*6)、1946年10月に開業しました(*5)。
三宮自由市場の営業期間は1年余りでした(*5)。
三宮自由市場では台湾人系商人組織「国際総商組合」も活動していました(*6)。国際総商組合は1946年5月、「台湾省民会」(在留外国人組織の1つ)のもとで結成されました(*6)。
三宮自由市場では日本人、中国人、朝鮮人、台湾人の業者が営業しており、ルーツの異なる業者との対立が頻発していました(*6)。対立激化を防ぐ為、1945年12月占領軍のMP、兵庫県警、検事局、各在留外国人組織の代表者が集められ、話し合いが行われました(*6)。結果、在留外国人側は商人組織結成の必要に至り、朝鮮人自由商人連合会(朝鮮人系商人組織)と国際総商組合(台湾人系商人組織)が結成されたのでした(*6)。
元山口組若頭補佐の菅谷政雄は終戦直後、神戸市で40人程度の愚連隊を率いていました(*7)。菅谷政雄のグループは阪神国道においてトラック強盗をし、略奪品を三宮自由市場に供給しました(*7)。また菅谷政雄のグループは武装して倉庫に侵入、物資を略奪しました(*7)。菅谷政雄のグループには在日台湾人も入っていました(*8)。1946年5月7日菅谷政雄は逮捕されました(*8)。先述したように、台湾人系商人組織「国際総商組合」の結成は、菅谷政雄逮捕の時と同じ1946年5月でした。
ちなみに元町-神戸駅間では1946年前半、博徒系組織「松明会」が高架下の店舗群を仕切っていました(*9)。1946年末、商人達は「商店街協同組合」を設立しました(*9)。設立の背景には、場銭(支払先は松明会)が高騰していることがありました(*9)。1947年6月商店街協同組合は「元町高架通商店街」に改称しました(*9)。
1961~1962年、三宮から新川(現在の中央区)までの道は「ぺー街道」(ぺーとは「ヘロイン」のスラング)と呼ばれていました(*10)。ぺー街道にはヘロイン密売所が数軒ありました(*10)。そのヘロイン密売所はヘロインの販売に加えて、客にヘロインを注射するサービスを提供していました(*10)。
戦後の神戸市において、海外からヘロインを仕入れていた組織の1つとして、先述の五島組がありました(*11)。五島組は香港に拠点を置き、中国側とのパイプを有していました(*11)。また五島組は韓国からは覚醒剤を仕入れていました(*11)。
<引用・参考文献>
*1 『狼侠』(笠岡和雄、2017年、大翔), p13
*2 『烈俠』(加茂田重政、2022年、彩図社), p53
*3 『武闘派 三代目山口組若頭』(溝口敦、1999年、講談社+α文庫),p46
*4 『神戸 ― 戦災と震災』(村上しほり、2024年、ちくま新書), p124-125
*5 『神戸 ― 戦災と震災』, p130-131
*6 『神戸 ― 戦災と震災』, p140-142
*7『大阪ヤクザ戦争 ― 30年目の真実 ―』(木村勝美、2009年、メディアックス), p28-30
*8 『大阪ヤクザ戦争 ― 30年目の真実 ―』, p33-36
*9 『神戸 ― 戦災と震災』, p146-148
*10 『マトリ 厚労省麻薬取締官』(瀬戸晴海、2020年、新潮新書), p102-104
*11 『覚醒剤アンダーグラウンド 日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男』(高木瑞穂、2021年、彩図社), p55
コメント