違法煙草の種類

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 ヨーロッパにおける違法領域の収益活動の1つとして「違法煙草の販売」があります。違法煙草(illicit cigarette)の種類は3つあります。cigarette は「紙巻き煙草」の意味なので、illicit cigarette は厳密には「違法紙巻き煙草」になります。よって刻み煙草は今回該当しません。

 違法煙草の1つ目が「密輸煙草」(Contraband)、2つ目が「偽造煙草」(Counterfeit)、3つ目が「イリシト・ホワイツ」(Illicit Whites)です(*1) 。

 密輸煙草とは、煙草税の低率国で購入された後、越境してきたものを指します(*1)。また高価格帯市場の国における再販売目的で、納税なしに「輸出」(つまり密輸)したものも、密輸煙草です(*1)。「密輸煙草」において煙草自体は、合法的に製造されたものです(*1)。

 偽造煙草とは、違法に製造及び販売されたものを指します(*1)。

 イリシト・ホワイツとは、ある国や市場において合法的に製造されているが、実態は「密輸目的で製造されている」と指摘される煙草を指します(*1)。またイリシト・ホワイツの中には「国別表示なし」(no country‐specific labelling)のものもありました(*1)。イリシト(違法)・ホワイツ(白)とは、文字通り、両義的な商品といえます。

 BIRN(Balkan Investigative Reporting Network)は2019年の記事で、モンテネグロから8億4,000万本のイリシト・ホワイツが輸出されたことを、明らかにしました(*2)。BIRNは2014年からARIJ(Arab Reporters for Investigative Journalism)とともに、バール(モンテネグロの港湾都市)発のイリシト・ホワイツを調査、その中でイリシト・ホワイツと疑われた積荷を20件(少なくとも17件)、確認しました(*2)。それらの積荷の合計が8億4,000万本だったのです(*2)。モンテネグロからイリシト・ホワイツを輸出していたのは、ほとんど海外の企業でした(*2)。主な輸送手段は漁船や小型貨物船でした(*2)。これらの船は地中海においての輸送時、位置を発信していませんでした(*2)。また書類上、仕向地のほとんどがリビアでした(*2)。他の仕向地としてはエジプト、北キプロス、レバノンがありました(*2)。しかし7件は、それらの仕向地ではなく、ギリシャ(EU加盟国)に向かっていました(*2)。EU加盟国内でのイリシト・ホワイツの密売は、大きな収益となりえました(*2)。

<引用・参考文献>

*1 『Illicit cigarette consumption in the EU, UK, Norway and Switzerland 2021 results』(KPMG LLP,2022),p2-3

https://www.pmi.com/resources/docs/default-source/itp/kpmg-eu-illicit-cigarette-consumption-report-2021-results.pdf?sfvrsn=5fe773b6_6

*2 Balkan Insightサイト「Cigarette Smugglers Find Safe Harbour in Montenegro, Again」(Visar Prebreza etc,2019年5月30日)

https://balkaninsight.com/2019/05/30/cigarette-smugglers-find-safe-harbour-in-montenegro-again/

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