自動車メーカー大手のトヨタ自動車の株主総会が6月16日に開催されました。今回の株主総会で話題の中心になったのが「AA型種類株」という新型株です。普通株とは異なり、特別の権利を与えられるのが種類株で、16日の株主総会でAA型種類株の発行が認められました。来月からまず5000万株が発行されます。種類株名になっているAAは、トヨタの戦前の量産車「AA型乗用車」から由来しています。
*今回記事を作成するにあたり、『週刊東洋経済』2015年6月20日号、『日刊ゲンダイ』2015年6月18日号(17日発行)の情報を参考にさせて頂きました。
投資家には、AA型種類株の5年間の譲渡制限を科せられます。5年後、普通株に転換することができます。5年後「AA型種類株の発行価格」より「5年後の普通株の株価」が上回っていれば、投資家はAA型種類株を普通株に転換、売却し差益を手にできます。逆に、5年後「AA型種類株の発行価格」より「5年後の普通株の株価」が下回っていれば、普通株への転換は損になります。しかしトヨタは、投資家からAA型種類株を発行価格で買い取ることを保証しています。つまりAA型種類株を保有した投資家は、投じたお金が目減りするリスクを確実に避けることができるのです。通常、社債や国債の債権と異なり、株に元本保証はつきません。今回注目されているのは、本来ハイリスク・ハイリターンの投資である株に元本保証が付いている点です。また5年間の間、配当もあります。
新株の発行は、全体の株数の増加になり、1株の希薄化を招きます。対応策として、トヨタはAA型種類株の発行と同数の自社株買いを行います。相殺される為、株式市場で流通するトヨタの株数は変わりません。逆に、市場に投入されるAA型種類株は5年間売買が凍結される為、トヨタの株は短期的に「少なく」なります。株価上昇の要因です。とはいえ、AA型種類株は普通株の1.2倍以上の価格で販売されます。5年後、トヨタの普通株が上昇した場合、現在時価(1倍)で購入した方が、差益は大きいです。株にも関わらず、5年間塩漬けという流動性の低さもデメリットです。あらゆる投資にはメリットがあれば、デメリットもあります。
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