山口組と神戸山口組の対立は本格的抗争へ

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 2月23日午前、福井県敦賀市にある神戸山口組2次団体の正木組本部事務所が5発の銃撃を受ける事件が起きました。死傷者は出ませんでしたが、組事務所の窓ガラス等が割れました。銃撃したのは山口組2次団体中西組の組員で、福井県警に現行犯逮捕されています。

*今回記事を作成するにあたり『実話時代』2015年2月号の情報を参考にさせて頂きました。

 『実話時代』2015年2月号「二〇一五年度版指定21団体最新勢力マップ」(人数はすべて警察資料による)によれば、2011年11月時点で福井県にはヤクザ組織の構成員が560人おり、全て山口組に属していました。福井県を地盤とする主な組織としては、今回本部事務所が銃撃された正木組があります。分裂騒動前は、福井県唯一の山口組2次団体でした。敦賀市には、日本原子力発電の敦賀発電所1、2号機があります。また敦賀市が位置する福井県南部の嶺南地域には、美浜発電所(美浜町)、高浜発電所(高浜町)、大飯発電所(おおい町)の原子力発電所が林立しています。正木組は地の利を活かし、嶺南地域の原発工事に食い込んできました。また山口組2次団体の一会(大阪市北区)、中西組(大阪市中央区)、小西一家(静岡市)などの傘下団体も福井県に拠点を置いています。一会は大阪市に2次団体としての拠点を持つものの、北陸地方にも勢力を有している組織です。今回敦賀市の正木組事務所を銃撃したのは中西組の組員でした。銃撃した組員の普段活動している傘下団体が不明ですが、もし福井県に拠点を置く中西組の傘下団体所属であれば、地域内における普段の確執も銃撃の遠因としてあったのかもしれません。

 3次団体以下の事務所ではなく、2次団体の本部事務所に発砲するという事態は、ヤクザ組織間抗争においては大きな意味を持ちます。ヤクザ社会において、住所が公表されている1次及び2次団体の本部事務所は象徴的な場所です。本部事務所がある地域一帯の裏社会の支配を多方面に示しているからです。よって2次団体本部事務所の銃撃は、銃撃を受けたヤクザ組織の領域を武力で侵したことを象徴する行為になります。繁華街で偶発的に起きた小競り合いとは異なり、明らかな敵対行為です。銃撃という手段もメッセージ性に富んでいます。ヤクザ組織抗争において、長年主な手段は銃による襲撃でした。また銃自体が非合法の存在になる日本において、銃は「ヤクザ組織の武器」として象徴的な意味合いを持っていました。1月9日福岡市に拠点を置く山口組2次団体・一道会の本部事務所に火炎瓶が投げ込まれる事態がありました。しかし火炎瓶は「ヤクザ組織の武器」の意味合いが弱いです。

 今後注目されるのが神戸山口組側の動向です。2次団体本部事務所を銃撃された側は、必ず相手組織の事務所にも銃撃つまり報復をするのがヤクザ組織間抗争の決まりでした。今回の銃撃により、山口組と神戸山口組の対立は本格的な抗争の域に入ったといえます。

 今回の銃撃で気になることが1つあります。2次団体本部事務所の銃撃を行ったのが、弘道会ではなかったことです。山口組の中で戦闘力に長けている2次団体は弘道会です。弘道会ではなく、大規模な2次団体といえない中西組が行った背景には、何かあったはずです。ヤクザ組織間の抗争の報復は早いです。ここ数日内は要注意です。

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